【沖縄】災害時の高齢者や障がい者の防災対応について知ってもらおうと、NPO法人バリアフリーネットワーク会議はこのほど、「逃げるバリアフリー」セミナーを沖縄市社会福祉センターで開催した。全国で大規模な災害が発生し、障がい者や高齢者の防災対応が各地で見直されつつある中で、災害時の対応を学ぼうと会場には障がいのある人や福祉施設の関係者らが多く出席した。
セミナーは全3回の講演を予定。1回目となるこの日は、福島県のNPO法人いわき自立生活センターの長谷川秀雄理事長を講師に招き「福島から学ぶ障がい者・高齢者の防災」をテーマに、東日本大震災での状況などを学んだ。
障がい者の自立に向けた支援活動をする長谷川さんは、東日本大震災当時を振り返り「原発事故も起こり、いわき市内はゴーストタウンと化していた」と表現する。被ばくの可能性もあり、突然来なくなった職員もいたという。「家族で他県に避難した職員もいたが、避難した職員を止めることはできないし批判もできない」と安全を最優先した結果だったと述べた。
震災時に津波の被害に遭いながらも人的被害を出さなかった病院の事例も報告。津波警報が出された際、多くの患者を抱える中で近くの高台まで逃げる時間もなかったため「歩ける患者は自身で、そのほかの患者はベッドや車いすを使って上階まで移動させた」と紹介した。避難時間20分で全患者を避難させ、被害を免れたという。
長谷川さんは「避難は時間との闘い。情報の発信、受信がその後の判断を左右する。複数手段を確保しておくことが重要だ」と語った。会場では防災時に活用できる車いすやベスト、道具が展示され、参加者は活用方法などに聞き入った。