友好演出も平行線 玉城知事・安倍首相初会談 対話継続を強調


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 【東京】玉城デニー知事と安倍晋三首相、菅義偉官房長官との初会談は笑顔で始まった。表面的には友好ムードを漂わせ、3年前の翁長雄志前知事の時との違いを強く印象づけた。だが、玉城知事が反対を掲げる辺野古新基地建設については、沖縄県と政府の立場は平行線をたどったまま。両者の笑顔とは裏腹に、立場の違いを抱えたままの船出となった。

 玉城知事が待つ会談の席には菅長官がまず登場し、玉城知事以下、同席の県庁職員ら一人一人と握手を交わした。9日の県民葬の話などで玉城知事とにこやかに談笑し、くだけた雰囲気が広がった。

 「今回の選挙で、辺野古新基地は認められないという民意が示されているし、かねて主張しているが辺野古の新基地建設には反対している」。冒頭、玉城知事が新基地反対を伝えると、安倍首相は口を結んで目を落とした。玉城知事の発言中、安倍首相は落ち着かない様子で、知事とほとんど目を合わさなかった。

 話を聞き終えた安倍首相は、一転して満面の笑顔で知事就任を祝う言葉で返した。続けて神妙な表情になり、振興に取り組む姿勢を示しつつ、基地集中にも言及し「到底是認できるものではない」と負担軽減に取り組む姿勢を強調した。

 会談後、玉城知事は政府との対話の余地がないのではないかとの問いに「対話しないのと、対話を閉ざすのは違う。常に対話を申し込んで、政府がちゃんと県民の願いを聞いてほしいと言い続けたい」と強調した。