書家・謝花の名筆 発見 宮古島市総合博物館収蔵 戦前の書、確認は2点目


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宮古島市総合博物館の収蔵資料の中から見つかった謝花雲石の戦前の書=17日、宮古島市総合博物館

 【宮古島】沖縄を代表する書家謝花雲石(1883~1975年)が戦前に書いた作品が宮古島市総合博物館の収蔵資料から新たに見つかった。謝花の戦前の書は、これまでに2009年に東京で見つかった1点しか確認されておらず、今回の書は2点目となる。調査した沖縄国際大学非常勤講師の稲福政斉さんは「朝鮮から書法を伝えた雲石の初期の作風を知るための貴重な資料で、沖縄の近現代書道界において重要作品だ」と話した。同博物館の宮國恵良館長が12日、会見し発表した。

 今回確認された書は、宮古島を代表する旧家・忠導氏仲宗根家が1981年ごろに当時の平良市に寄託した収蔵資料の中から、稲福さんが15年に見つけた。09年に発見された1937年の書幅と書風が酷似しており、署名や印の特徴など複数の共通点があることから、戦前の作品と断定することができるという。

 作品は「水閣夏涼聽雨坐 蕉窗畫靜抱書眠」と書かれており、印章は引首印で「平生一片心」、落款印は「謝華之印」「雲石」と読めるという。中国の昔の詩を引用したものとみられる。

 謝花は那覇西村の出身。1911年に朝鮮へ渡って金圭鎮に書法を学び、帰郷後は後進の指導を通して書道の普及発展などに努めた。現在の県庁表札など、数多くの作品を残している。