米、立法院選に介入画策 1965年 沖縄の核 維持もくろむ


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米ジョージ・ワシントン大のシンクタンク、国家安全保障公文書館が公表した1965年の米政府の極秘会議メモ

 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】沖縄返還前の1965年、当時のライシャワー駐日米大使が米軍統治下の沖縄で秋に予定される立法院議員選挙に向け、沖縄での核兵器の保有を続けたい米側に有利になるよう、資金工作を提起し、自民党の政治家を介して資金を投入することを軍高官に提案していたことが分かった。米ジョージ・ワシントン大のシンクタンク、国家安全保障公文書館が16日に公表した米政府の極秘会議メモで明らかになった。

 「琉球諸島における米国の政策」と題したメモによると、7月16日の会議に国務省関係者と、リーザー陸軍長官ら軍関係者が出席した。この中で、ライシャワー大使は日本、琉球の人々の民族主義的な反応の高まりを背景に、米統治の時間は限られていると認識し、11月に予定されている選挙に負ければ、現状の維持は困難になると指摘した。

 日本の保守は、米軍の防衛に前向きになる可能性があり、「自民党が沖縄問題を解決する手助けをすれば、米側にも日本側にも資産になる」と、返還交渉に有利になると認識。沖縄を含め国内での核兵器の保有と、有事の際に米軍が沖縄を管理することを日本が認めれば、沖縄の「全ての統治権」を日本に返還しても、沖縄に基地を置き続けることができると説明した。

 選挙工作をめぐり、米政府が直接資金を投入するより、自民党の政治家に託して使わせる方が「より安全な方法だ」と提起。出席者から、政治家に渡した場合に「きちんと琉球側に届くのか」と懸念の声もあったが、ライシャワー大使は「日本の保守政治家にとっても選挙の勝利は死活的に重要」とし、「彼らの資金に上乗せしてもらうだけで、完全に秘匿できる」と主張した。