那覇市・「パートナーシップ」導入3年目 施策充実に向け調査へ 面会権、社会保障など課題


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なは女性センターで無料で貸し出しているLGBT関連図書を紹介する當真美代子主幹=那覇市

 沖縄県内で唯一、戸籍上の性別が同じカップルをパートナーとして認め、結婚に相当する関係と承認する「パートナーシップ制度」を導入している那覇市。2016年7月の制度導入から18年9月末までに25組が登録した。10万人当たりのカップル数は7・8組で、東京都渋谷区、世田谷区に次ぎ全国で3番目に多い。市平和交流・男女参画課は「制度の認知度は広がっているが、登録後の後追い調査が不十分で実態が分からない部分が多い」(當真美代子主幹)として、年度内にも追跡調査に着手する意向を示している。

 性的マイノリティーの人が働きやすい職場環境づくりを支援するNPO法人虹色ダイバーシティによると、9月27日現在、パートナーシップ制度に登録しているカップルは全国で276組いる。那覇市では初年度の16年度に13組、17年度に5組、18年度は9月末までに7組が登録した。年代別では30代が最も多く、40代、20代が続く。

 登録者の本籍が市外や外国、県外の人も複数含まれることから、當真主幹は「県内で唯一制度があるだけでなく、周囲と一定の距離が保てる那覇市は、同性カップルにとって暮らしやすい環境だからなのでは」と分析する。

 ただ、制度の改善・充実を訴える声も少なくない。市が運営するなは女性センターには、年間平均70~80件ほど当事者からの相談が寄せられる。その多くが医療機関での面会権や社会保障への不満などだという。特に医療機関の対応は喫緊の課題で、市は那覇市医師会を通して各機関の協力を得たい考えだ。

 當真主幹は「病気になったときや心が弱っているときに一番そばにいてほしい人、守りたい人は、誰であれ愛する人に違いない」と述べ、横須賀市など他市町村の先進的取り組みを参考に、市政に反映したいと強調する。今後は、市に性の多様性の専門相談員を配置する必要性も指摘した。