国の対抗措置「違法」 「辺野古」撤回執行停止申し立て 行政法研究者110人声明


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政府による行政不服審査制度の乱用を憂う声明を発表する(左から)白藤博行専修大教授、紙野健二名古屋大名誉教授、亘理格中央大教授、岡田正則早稲田大教授=26日、国会

 【東京】全国の行政法研究者有志110人は26日、連名で沖縄防衛局が国土交通相に対し行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止を申し立てたことについて「国民のための権利救済制度を乱用し、法治国家にもとる」と批判し、国交相に却下を求める声明を発表した。声明は行政不服審査法が「固有の資格」の立場にある行政機関への処分に対して明示的に適用を除外しているとし、防衛局の審査請求や執行停止の申し立ては「違法行為に他ならない」と批判した。防衛局が同じく国の行政機関である国交相に申し立てたことに「審査庁に特に期待される第三者性、中立性、公平性を損なわせる」と疑問視した。

 2015年に県が埋め立て承認を取り消して防衛局が今回同様の対抗措置を取った際、国交相は執行停止を迅速に決めて工事を再開させた一方、審査請求は16年の和解で取り下げられ、長期間違法性を判断しなかったことも国交相に中立性が見込めない根拠とした。

 声明の呼び掛け人10人のうち紙野健二名古屋大名誉教授、亘理格中央大教授、岡田正則早稲田大教授、白藤博行専修大教授の4氏が26日、国会内で会見した。

 紙野氏は23日に文案をまとめてから短期間で多くの賛同者が集まり「いくらなんでもひどいと感じた行政法学者が多かった。この反応は重大だ」と語った。

 15年に翁長雄志前知事が埋め立て承認を取り消し、防衛局が行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止を国交相に申し立てた時も同様の声明が発表された。