公平性を気にして硬直化も 知事選報道、成果報告 東京でファクト検証巡り議論 生活や健康被害での事実検証望む声も


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本紙の滝本匠記者(右から2人目)も登壇した「県知事選のファクトチェックの成果と今後の展望」をテーマに議論したファクトチェック・イニシアティブのセミナー=27日、東京都のスマートニュース

 【東京】9月末の沖縄県知事選で各報道機関で実施されたファクトチェックの成果と今後の展望を話し合うセミナー(主催・NPO法人ファクトチェック・イニシアティブ=FIJ)が27日、東京都渋谷区のスマートニュース社内であった。

 本紙の滝本匠東京報道部長が琉球新報の取り組みを紹介し、今後も報道機関として継続する考えを強調した。

 FIJの楊井人文理事兼事務局長は「(沖縄の)県民投票もある。統一地方選もある。より多くのメディアを巻き込めれば認知も深まる」と広がりに期待した。

 会場にはメディア関係者らが集まり、議論に耳を傾けた。フロアからは、ファクトチェックは政治だけでなく、生活や健康被害に関するものも求められているとの意見も出た。選挙報道は公平性を気にして硬直化しているとの指摘も上がった。

 パネルディスカッションで司会を務めたFIJの立岩陽一郎副理事長は「映像を使ってやるのが、世界のファクトチェックの趨勢(すうせい)になっている。重要なのは分かりやすく伝えるということだ。日本は始まったばかりだ」と話した。

 沖縄で知事選を取材したBuzzFeed Japan記者の瀬谷健介さんは、ファクトチェックで候補者名を出すかどうかについて「実名か匿名か議論した。調べれば分かることで、読者のことを考えると実名でいいとの判断になった」と説明した。