「自習促す環境を」 灘中学・高校の木村達哉教諭、入試対策で講演


社会
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木村達哉氏の講演を聞き、拍手を送る来場者ら=28日、那覇市古島の興南学園

 琉球新報社と「おきなわ学びのネットワーク」は28日、兵庫県の進学校、灘中学・高校の英語科教諭、木村達哉さんを招いた講演会「入試に役立つ指導法と勉強法」を沖縄県那覇市の興南学園で開いた。木村さんは「沖縄の先生方は本当に熱心だが、その割に成果が出ていない。成績を上げるメカニズムを知る必要がある」と指摘した。定員を超える教員や保護者ら約150人が真剣に聞き入った。(11月19日付朝刊「まなラボ」で講演の内容を詳しく紹介。)

 野球部顧問も務める木村さんは、教科の成績はスポーツと同じで「どんないい説明を聞いても、自分でバットを振って練習しなければ上達しない」と説明。「授業で『なるほど』と納得した後、子ども自身が復習することが成績の分かれ目」と話し、自習の重要性を指摘した。

 一方で「放置して自習する生徒は灘にもいない」とし、授業で自習のやり方を教え、確認試験など自習したくなる「仕掛け」まで含めた教師の“仕事”を強調。家庭では「親が勉強しろという度に子どもの偏差値は5下がる」と話し、口出しするよりリラックスできる環境づくりを呼び掛けた。

 県内に多い「ゼロ校時」や放課後の補習は「自習の時間は減り、子ども、教員も疲弊する。これでは実績は上がらない」と断言した。生徒が教師を見て「こんな人になりたい」と思うことこそ重要だと強調した。

 灘の前には荒れた学校の教壇にも立ったという木村さんは「成績のいい子ばかりを見てきたわけではない。勉強が嫌だから就職を、という子には社会の厳しさを話す。自分がどう生きるのかは家庭で話した方がいい」と説き、学校と家庭の役割分担と協力の重要さを指摘した。