村民の8割が聴いている! 沖縄・読谷村のコミュニティーFMがスゴイ!


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
開局10周年を迎えるFMよみたんの仲宗根朝治社長(中央)ら=28日、読谷村総合運動広場

 【読谷】沖縄県読谷村のコミュニティーFM放送局「FMよみたん」(78.6メガヘルツ、仲宗根朝治社長)が1日、開局10周年を迎える。2008年、未経験者ばかりで始めたが、14年の中京大学の加藤晴明教授のゼミの調査では村内聴取率83.7%を記録するなど、認知度は高い。仲宗根さんは「あっという間の10年だった。100年企業を目指したい」と意気込んだ。1日は10周年を記念した特別番組を放送する。

 現在は県外にも「ファン倶楽部」を持つFMよみたんだが、10年間の道のりは平たんではなかった。初めてのラジオ放送は手探りの状態だった。24時間放送のため、仲宗根さんが放送局で寝泊まりする日々が続き「放送するので精いっぱいでつぶれると思った。(開局した)08年ほど眠れない冬はなかった」と、苦笑いしながら振り返る。

 それでも仲宗根さんの番組「ゆんたんじゃ出番ですよ!」に村内の事業者が出演するようになると、放送への理解も広がり、広告主が増えた。売り上げに応じて新たに社員を採用し、安定した運営が可能になるとさらに収入も伸びた。アンテナを村役場から座喜味城跡近くの高台に移動すると「放送が聞こえない」という苦情も減り、さらに村民に浸透した。

 FMよみたんは多彩なパーソナリティーが出演し、さまざまな情報を発信している。地域のイベントの中継や、日頃の交通、行政情報など生活に根付いた配信を心掛けている。仲宗根さんは「村民4万人が家族みたいなものだ。ローカルな情報をしっかり届けたい。その責任は年々重くなっている」と語る。

 今年9月末、台風24号が直撃した時は88時間停電になる中、自家発電機を回しながら放送を続け災害情報を伝えた。8月に防災士の資格を取得した副局長の比嘉美由紀さんは「責任を持って、質の高い情報を伝えたい」と力を込める。

 これからの10年のため、仲宗根さんは「若いリスナーを育てるためには多様な情報をSNSなど多重な方法で伝える必要がある」と未来を見据えた。