知事、工事前の会談要求 辺野古、政府はきょう再開方針 国、来週会談で調整


この記事を書いた人 大森 茂夫
玉城デニー知事
埋め立て承認撤回の執行停止により、工事が再開できるようになった米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=31日午前9時39分、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 【東京】上京中の玉城デニー知事は31日、東京都内で会見し、辺野古新基地建設の埋め立て承認撤回に対する国土交通相の執行停止決定を受け、工事の再開前に政府との対話を求めて31日に安倍晋三首相と菅義偉官房長官に会談を申し入れたことを明らかにした。国会日程などを理由に会談は実現しなかったが、政府側は前向きで、早ければ来週にも会談する方向で調整する見通し。ただ政府は1日に工事を再開する方針で、玉城知事がひとまず対抗措置を取らずに対話を求めている中で工事を強行するかどうかが焦点となる。

 玉城知事は「(県が対抗措置を取って)このまま司法の場に移るのがいいのか、他に何らかの手だてがあるのか対話をしたい」と述べ、政府の姿勢を見極めてから県として対抗措置を判断する姿勢を示した。対抗措置の手段については「国地方係争処理委員会で対応したい」と、同委員会に申し立てることを明言した。

 玉城知事からの会談要請について西村康稔官房副長官は31日の会見で「国会もあり日程の都合がつかなかったことなどから、31日は会う予定はないと聞いている。双方の調整がつけば会うことになる」と述べ、首相、官房長官ともに会談する方向であることを明らかにした。来週は都内で全国知事会が予定されているため、会談は来週に行う方向で調整される見通しだ。

 玉城知事は、国交相の執行停止決定について「非常に短期間で判断したことは、多くの県民が政府に非常に強い憤りと失望を抱いている。このような形で工事を強行するのはまかりならない。対話を閉ざすかのような行為を政府が取るのは非常に問題だ」と批判した。その上で「対話を求めているので、すぐ工事に入るなどという暴挙に出ることがないようしっかり見ておきたい」と強調した。

 玉城知事は31日、日本記者クラブでも会見し、国交相の執行停止理由に挙げた外交防衛上の不利益について「一国民がそういうふうに申し立てることができるのかを考えると、執行停止決定もはなはだ茶番劇でしかない」と批判した。

 このほか在日米大使館でハガティ駐日米大使と会談し、検討している訪米への協力を要請した。

 一方、辺野古埋め立て承認撤回の効力を失わせる執行停止の決定通知書が10月31日午前、埋め立て工事主体の沖縄防衛局に到達し、撤回により停止していた工事が再開できる状況となった。防衛局は11月1日に資機材の搬入や海上のフロート(浮具)の設置など埋め立て工事の準備を再開させる方針だ。県にも同日午前、国土交通省から執行停止の通知が届いた。