琉球、J3最速V 超攻撃サッカー貫く 中川、鮮烈ヘッドと追加点


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琉球―群馬 後半21分、ドリブルで切り込み自身2ゴール目を決める琉球の中川風希(左)=3日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(大城直也撮影)

 サッカーの明治安田J3第30節、FC琉球は3日、クラブ史上初となるJ3優勝とJ2昇格を決めた。7810人が詰め掛けたホームの沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで、ザスパクサツ群馬(リーグ3位)に4―2で勝利。リーグ4節を残しての優勝はJ3リーグで最速。琉球は前半2分、富所悠のフリーキックに中川風希が頭で合わせて先制点を奪った。16分に和田凌、後半4分には富樫佑太がゴール。1点を返された直後の後半21分には、中川が相手GKとの1対1から2点目をもぎ取った。琉球の第31節は11日午後2時から、大阪府のヤンマースタジアム長居でセレッソ大阪U23と対戦する。

 前半2分、富所悠のフリーキックを中川風希がヘディングで後ろに流し、ゴールネットを揺らす。開始早々の鮮やかな先制ゴールに、7810人の観客が立ち上がり、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。

 1点目はチームを勢い付け、失点直後の後半の追加点は流れを引き戻した。大車輪の活躍に中川は「勝って優勝しようと決めていた。貢献できてうれしい」と笑顔が広がった。

 「ヘディングで点を決めることができる選手」と金鍾成監督が太鼓判を押す。「思ってたよりも低く出してしまった」(富所悠)フリーキックも、体勢を低くしながら、うまく合わせた。3―0とリードした後半、失点で会場に不穏な空気が漂ったが、21分、中央から抜け出し、相手GKをかわしてシュート。嫌な流れを断ち切る追加点で会場を再び沸かせた。

 「成長できている」と話す今シーズン。得点しても「周りがうまくて、合わせるだけだった」と謙虚な姿勢を崩さない。リーグ残り3試合だが、「ペースを落とす気はない。(J2で)戦える準備をしていきたい」。23歳のゴールゲッターの成長は止まらない。(喜屋武研伍)

◇ボール奪う守備 機能

琉球―群馬 再三の好セーブを見せたGK朴一圭(大城直也撮影)

 FC琉球が今季を象徴する「超攻撃的サッカー」を体現した展開でJ2昇格とJ3優勝を決めた。攻撃を支えたのはCB増谷幸祐、瀧澤修平とGK朴一圭を中心としたラインを上げた攻めの守備だった。主将でもある朴は「引く守備ではなくボールを奪いに行く守備ができた」と振り返った。

 群馬戦でもFC琉球は「前線が押し込んでくれた」(増谷)ことで、守備陣もセンターラインまでディフェンスラインを上げることができた。選手と選手の間がコンパクトになり、ボールを奪ってはすぐに攻撃へ展開できるシステムが機能した。相手に裏を取られた場面では朴がペナルティーエリアから大きく出て、的確な判断でクリア。一対一を好セーブする安心感も、ラインを上げられる要因となった。

 朴と増谷、瀧澤が中心となった守備システムが3年間をかけて「あうんの呼吸で瞬時に判断できるようになった」(朴)。朴の「(相手選手の)3手、4手先も読めるようになった」成長もあり、絶対的守護神としてゴールを守り続けた。

 金鍾成監督は守備について「パギ(朴)のリーダーシップもあり、後ろから攻撃のスイッチを入れられる」と褒める。目標のJ2昇格を決めた朴は「失点さえしなければ負けることはない」と反省も忘れず、「琉球のスタイルを確立し、J2でも戦いたい」と残り3試合でのさらなる進化を経て、J2に乗り込む。(屋嘉部長将)