障害者手帳の種別誤る 沖縄県と自治体 50代男性、就労できず


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種別が誤って交付された障害者手帳を手にする男性=6日、本島中部

 身体に障がいがある沖縄本島中部の50代男性に対して2017年4月、精神障がいを対象とした障害者手帳が誤って交付されていたことが8日までに分かった。交付を判断する県や申請窓口の自治体で、障がいの種別に対する思い込みや確認不足が重なった。県、自治体は同様の事例は聞いたことはないとしている。交付ミスが原因で就労できない状態にある男性は「身体か精神か、はっきり確認してほしかった」と話し、身体障がいの手帳の早期交付を求めている。

 精神障がい者用の障害者手帳を持つ人が障がい者雇用枠で就労するためには精神科医の診断書が必要となる。精神障がいではない男性は診断書を得られず、働くことができない。男性は10月17日、身体障がいの障害者手帳を申請したが、発行される見通しの来年1月中旬ごろまでは就労できない。

 障害者手帳の申請で、精神障がいの場合は年金証書か診断書のどちらかを添付すれば申請できる。しかし、身体障がいの場合は医師による身体障がいの診断書が必要となる。

 男性は17年2月、在住自治体の担当課窓口へ年金証書を添付して障害者手帳の交付を申請した。自治体の担当課窓口は男性の障がいを精神障がいと判断し、手続きを進め、県へ書類を送った。申請が初めてだった男性は障がいの種別でどのような書類が必要かについて正確に把握しておらず、説明もなかったという。

 書類を確認した県中部保健所は、年金証書を基に得た情報で男性は身体に疾患があることを把握していた。しかし、2次的に精神疾患を引き起こしている可能性があると判断し、精神障がいの障害者手帳を誤って交付した。同保健所精神保健班は誤交付を認めた上で「チェック体制を強化する」と述べた。

 島村聡沖縄大准教授(社会福祉学)は「身体疾患だと把握したにもかかわらず、県が手帳を出したのは明らかなミスだ。申請を認めず、自治体に確認するなどの対応をするべきだった」と指摘した。