琉球新報の一連の「ファクトチェック」報道

 反核や平和、人権擁護などに貢献する優れた報道をした個人や団体に贈られる「平和・協同ジャーナリスト基金(PCJF)賞」の第24回受賞作が29日発表され、大賞である基金賞に琉球新報社政治部の「沖縄県知事選に関する報道のファクトチェック報道」が選ばれた。推薦・応募のあった候補作92点から決定した。

 受賞作は今年9月の知事選で飛び交ったネット情報の真偽を調査して報道した。選考委員会では「本格的かつ迫力あるファクトチェック報道だった」「これから先ますますフェイクニュースが多くなるだろうから、今回の取り組みは新聞報道に新しい道を開いた」と評価された。

 奨励賞は朝日新聞青木美希記者の「地図から消される街」、アジア記者クラブの一連の活動、「沖縄スパイ戦史」製作委員会のドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」、毎日新聞栗原俊雄記者の戦争責任・戦後補償に関する一連の著作、中村由一著・渡辺考聞き書き・宮尾和孝絵「ゲンバクとよばれた少年」の5点。 本紙の大賞は2014年に連載「日米廻り舞台―検証フテンマ」が受賞して以来、4年ぶり2度目。12月8日に贈呈式がある。


 

◆苦い経験、教訓に

 平和・協同ジャーナリスト基金賞の大賞に選ばれた琉球新報の「ファクトチェック―フェイク監視」は、9月30日に投開票された沖縄県知事選の選挙報道で実施した。これまでの選挙報道ではやってこなかった初めての試みだった。インターネット上で飛び交ううそやデマ、真偽不明の情報などが事実かどうかを検証した。事実確認には困難もあった。

 以前から選挙では怪文書が飛び交う状況はあったが、SNS(会員制交流サイト)の浸透でネット上に誹謗(ひぼう)中傷が半永久的に広がる状況が生まれている。過去の選挙でデマを駆逐してこなかった反省もあった。

 検証の対象にした言説は「世論調査の数字」「一括交付金の制度創設」「安室奈美恵さんの候補支援」「携帯料金削減の公約」の4本。記事掲載に当たっては、分析などは加えず事実を並べて読者に判断してもらうことと、選挙期間中に記事を掲載することに留意した。有権者の投票行動の判断にしてもらう狙いからだ。

 取材に当たっては、米軍普天間飛行場の造成経緯を巡るうそなど「沖縄フェイク」の是正に取り組んできた経験の蓄積も生かした。LINEで読者から寄せられた情報も参考にした。