仲間孝大、悲願の初優勝 NAHAマラソン


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 第34回NAHAマラソン(主催・那覇市、南部広域市町村圏事務組合など)は2日、那覇市の明治橋交差点を出発して南風原町、八重瀬町を経由し、糸満市の平和祈念公園を中間地点に、豊見城市を通り、那覇市の奥武山陸上競技場に戻る42.195キロのコースで行われた。男子は仲間孝大(豊見城市、沖縄陸協)が2時間25分46秒で走り、5回目の出場で悲願の初優勝を果たした。女子は招待選手として出場した田中華絵(東京、資生堂)が2時間43分20秒で頂点に立った。男子の2位は早坂光司(宮城、石巻RC)で2時間27分秒12秒、3位は池田泰仁(香川RC遊)で2時間30分55秒だった。女子は廣瀬光子(東京WINGS)が2時間51分47秒で2位、安里真梨子(豊見城市、らんさぽ)が2時間56分40秒で3位だった。

◆早めの仕掛けで一人旅

男子で初優勝し、ガッツポーズでゴールする仲間孝大=2日、那覇市の奥武山公園陸上競技場(古堅宗陽撮影)

 仲間孝大(豊見城市、沖縄陸協)は5回目の出場で悲願の初優勝を飾った。21キロ地点からトップ集団を抜け出し、そのままペースを守り2時間25分46秒でゴール。「やっと優勝できた」とうれしそうに安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 中間地点までは4人が競い合った。周囲を見て「きつそうだ」と判断し、ギアを上げた。ついてくるかと思ったが、振り返ると後続はなく「勝利を確信した」。30キロ地点からは暑さできつかったが、地元・豊見城市の友人の声援が後押しした。その後は「いつも通りの走りをすれば勝てる」とペースを守り、勝利の月桂冠を手にした。

 今シーズンは夏から宮古島マラソン、県民体育大会と大会ごとに調子を上げていった。好不調の波にかかわらず普段通りの練習を心掛け、月400キロ以上を走り込んだ。練習ではタイムを縮め、自信になった。特に前大会覇者の濱崎達規とは週2、3日、一緒に走り、互いに刺激し合っているという。この日は福岡国際マラソンに出場したライバルを思い、仲間は「今回の優勝は濱崎にも良い刺激になるはずだ」と話した。

 今季最後の大会を優勝で飾ったが、まだ納得しているわけではない。「自己ベストを更新し、2時間15分を目指す」と来季に向けて気持ちを新たにする。
 (古川峻)

◆実力者田中、女子制す/大阪国際へ「いい感じ」

女子で初優勝した田中華絵=2日、那覇市の奥武山公園陸上競技場(古堅宗陽撮影)

 2017年の大阪国際女子で3位に入り、今年8月のジャカルタ・アジア大会9位の田中華絵(東京)が初優勝を飾った。自身6度目のフルマラソン。最大高低差100メートルを上下する難コースに「今までで一番起伏がきつかった」と振り返るが、沿道の声援も力に、1キロごとのラップをほぼ3分51秒で刻み2時間43分20秒でゴール。花冠をかぶった28歳は「思ってたよりいい感じ」と汗が光った。

 昨年末に第一生命から資生堂に移籍し、駅伝のアンカーを務め、2年後の東京五輪はマラソン代表候補としても取り沙汰される注目株だ。レースは早々と独走に入った。「歌ってる人も小さい子も、年配の方もいて、名前も呼んでもらえた」と温かい沿道に心を和ませた。

 10キロから15キロまでに60メートル、15キロから20キロまでで40メートルと、高低差100メートルのアップダウンを駆けた前半は「いつまで続くんだろう」と苦しんだが、暑さは嫌いじゃない。長身の男性選手の後ろに陣取って踏ん張った。それも1月に挑戦する大阪国際女子で2時間26分19秒の自己ベストを切るためで、「トレーニングの一環。いい練習になった」と手応えをつかんだ。

 五輪選考へ周囲が騒がしくなる中、マラソングランドチャンピオンシリーズの大阪国際女子の結果は試金石となるが、「まずは過程にある課題をクリアするのが先。最低でも自己ベストを更新する」と着実な一歩を見据える。
(石井恭子)