認知症女性を捜索、発見 不明者家族会 沖縄署が感謝状 「全県的な仕組み必要」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
安慶名達也代表(中央)と感謝状を贈った平良英俊沖縄署長(右から3人目)ら=11月21日、沖縄署

 【沖縄】行方不明になっていた認知症の85歳女性の捜索に協力したとして、沖縄署は11月21日、「県認知症行方不明者家族の会」の安慶名達也代表らに感謝状を贈った。2015年に発足した同会は、沖縄署が管轄する沖縄市、北谷町、北中城村を中心に、警察と連携して行方不明者の捜索などを行っている。

 安慶名代表らや同署によると、女性は10月28日の昼頃に行方が分からなくなった。その日の夜になっても所在が分からなかったことから、女性の家族が沖縄署に通報。同署が同会に協力を依頼し、学生ボランティアら約15人で捜索した。捜索開始から約30分後、自宅から5キロ以上離れた路上にいた女性を発見した。

 安慶名代表は約7年半前に認知症の母親が行方不明になった経験があり、「私たちのような思いをする家族を増やしたくない。未然に防ぐ地域づくりのために活動している」と話す。

 同会は行方不明者が迷い込みやすい「ホットスポット」のパトロールを実施しているほか、行方不明者を捜索する人を募る「愛守羅針盤(カナムイカラハーイ)SOSネットワーク」(通称・カラカラメール)のメーリング制度を活用し、行方不明者の早期発見に役立てている。

 一方で、市町村を越えて行方不明になった場合、行政間の連携体制が未整備であることも指摘。安慶名代表は「警察や行政、市民が連携できる全県的な仕組みが必要だ」と話した。

 今回の受賞を機に、認知症の行方不明者がいる実態やボランティアでの活動について知るきっかけにしたいとしている。

 県認知症行方不明者家族の会の問い合わせは(電話)080(3375)0541。