上原、王座奪えず ボクシング東洋太平洋 清水にTKO、初黒星


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
うまくかわす清水聡を攻めあぐねる上原拓哉(右)=3日、東京都の後楽園ホール

 ボクシングの東洋太平洋フェザー級タイトルマッチ12回戦が3日、東京・後楽園ホールで行われ、同級6位で南風原町出身の上原拓哉(南風原高校出、大阪市・アポロ)は、2012年ロンドン五輪バンタム級銅メダルで王者の清水聡(大橋)に挑んだが、3回TKOで敗れ、タイトル奪取はならなかった。清水は4度目の防衛に成功した。上原はプロデビュー後、初黒星を喫した。23歳の上原はベテランで大舞台の経験も豊富な32歳の清水に対し、武器のフットワークを発揮することができず、王者の距離感での展開となった。2回に3度ダウンを奪われ、勢いが弱まってきた3回には清水の得意の左ストレートで倒れ、レフェリーが試合を止めた。戦績は上原は17戦16勝(10KO)1敗、清水が8戦全てKO勝ち。

▽東洋太平洋フェザー級タイトルマッチ12回戦
清水 聡(大橋)57・1キロ
 TKO 3回1分26秒
上原 拓哉(アポロ)57・1キロ

◆銅メダリストと力の差

 最後のダウンで3回TKOを宣告されると、上原は悔しさをぶつけるかのように、床に向かって大きく右拳を打ち下ろした。OPBF東洋太平洋フェザー級タイトルマッチでプロ初の黒星を喫した上原拓哉。試合後、控え室に戻った上原は「こんな簡単に倒れるのかと悔しくて。自分のボクシングができなかった。相手が一枚も二枚も三枚も上だった」とタオルで涙を拭った。

 序盤から王者・清水聡との距離感をつかめぬまま、追い込まれた。腰が引けたように後ろへ下がり、思うように足も動かない。上原のパンチは清水のガードに封じられる一方、上原はボディーや顔面に何度も被弾した。2回だけで3度のダウン。力の差を見せつけられた内容だった。

 試合前には同郷のプロボクサー比嘉大吾から、通信アプリのLINEで「頑張ってな」と励ましをもらっていたという。前回試合から練習時間は十分とは言えない状況で臨んだタイトルマッチ。「逃げることもできたが、立ち向かって挑戦できた自分は褒めたい。でも、年末にやったとしても結果は同じだった」と、言葉を振り絞った。

 プロ初の敗北後、次の試合について質問された上原は「この試合のことだけを考えてやってきたから、今は、先のことは分からない。沖縄に帰ってゆっくり考えたい」と静かに語った。
 (滝本匠)

◆「雰囲気にのまれた」

 上原拓哉が所属するアポロジムの度紀嘉男会長は、清水聡に注目する会場の雰囲気に「(上原は)最初からのまれていた。いつものタカが獲物を狙う目じゃなかった」と振り返った。さらに、「リングに向かう時点で顔も紅潮して上がっていると感じた。ダウンで切り替えてくれればと思ったが―。ある意味、経験としては良かった。ただ、自分の力を出し切って負けたなら悔いも残らないが、そうじゃなかった」と語った。

◆来年は世界に挑戦

 清水聡の話 今までで一番いい試合だったと思う。気を抜かず努力して来年には世界に挑戦したい。