京大、遺骨保管認める 奄美群島4体 調査「時間要する」


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奄美地方から持ち出された遺骨を保管していた箱の一部とみられる板(ピリカ全国実・関西提供)

 旧帝国大学の人類学者らが奄美群島から持ち出した遺骨が返還されていない問題で、京都大学は5日までに、喜界島から持ち出された4体の遺骨を保管していることを認めた。京都帝国大学(現在の京都大)で教授だった清野謙次氏(1885~1955年)や門下生が持ち出した遺骨とみられる。遺骨が京都大学に寄贈されたことは文献などから確認されていたが、京都大が認めたのは初めて。

 京都大は琉球新報に「1994年9月から12月ごろに人骨を適切に保管するため、保管箱を交換した。指摘の人骨は移し替えた保管箱に収納し、現在、本学総合博物館の収蔵庫において保管している」と答えた。収蔵された経緯については「順次調査を進めているが、学術的観点からの精査を経た全体の正確な把握にはなお時間を要する」として答えなかった。

 遺骨を巡っては保管箱の一部とみられる板が京都大学のゴミ集積所で見つかった。板には「清野蒐集(しゅうしゅう)人骨」「大隅國(おおすみのくに)大島郡喜界村赤連ダンムチノ下」などと書かれており、4体分の標本番号が記されていた。板は現在、沖縄の「アイヌ民族と連帯するウルマの会」が保管している。

 奄美群島の研究者らでつくる「京都大収蔵の遺骨返還を求める奄美三島連絡協議会」は、ごみ集積所に板を置いたことに対して京都大に抗議した。同会の調査によると、奄美群島から計260体余の遺骨が持ち出されている。