客船の貨物港利用増 那覇港調査 観光客から不満も サービス環境に課題


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 沖縄総合事務局は6日、那覇国際コンテナターミナル寄港クルーズ船観光客に関する調査の結果を発表した。大型船の入港や複数のクルーズ船が同時寄港する際に、貨物用の那覇国際コンテナターミナルを利用する回数が2016年は37回、17年は42回と増加している。コンテナターミナルは風よけやCIQ業務(税関、出入国管理、検疫)をできる施設がなく、サービス環境の不備や市街地との距離による二次交通の不足などの課題が改めて浮き彫りになった。

 県内のクルーズ船の寄港回数は17年は515回で、中でも那覇港は224回の寄港があった。
 クルーズ船客107人に行ったアンケートでは、コンテナターミナルに関して「待機場所の環境」や「子どもや弱者の設備」「トイレの数」の項目で満足した人がほぼ半数を下回った。市街地までの遠さや強風から避ける屋根付き施設の必要性を指摘する意見もあった。
 那覇と同様の条件でクルーズ船を受け入れる県外の港も調査した。広島港ではクルーズ船入港時に人や車両が自由に通行できる区域を広げ、市街地まで無料のシャトルバスを運行して二次交通を充実させる取り組みを実施している。横浜港はCIQやバス乗り場の案内に市職員を配置し、予算面でも市が多額の経費を負担するなど行政の関与が目立った。
 調査した総合事務局は改善案として、ふ頭の保安規定の見直しやシャトルバス運行の働き掛けの必要性などを提示した。那覇クルーズ促進連絡協議会の構成団体を拡大して、受け入れ体制の強化を図ることも挙げた。能登靖局長は「他地域の事例や沖縄の課題も見えた。関係機関と連携して解決策を検討したい」と述べた。
 調査は今年8~9月に実施した。調査結果は同局のホームページ(HP)で公開する。