政治

他市町村に波及懸念 県にとって正念場 宮古島市長の県民投票不実施表明

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 下地敏彦宮古島市長が県民投票事務にかかる経費を支出せず、同市で投票を実施しないことを表明した。今週から来週にかけて、首長が投票実施を保留する宜野湾市や糸満市などの議会でも補正予算案の採決が予定されており、「実施拒否」が他の市町村長に波及することも懸念される。県はこうした首長から協力を取り付けるための説得を続ける方針で、41市町村全ての実施に向けて玉城デニー知事は難しいかじ取りを迫られる。

 県民投票を巡って、これまでに反対意見書を可決したのは石垣市議会、宜野湾市議会、宮古島市議会、渡嘉敷村議会。このうち渡嘉敷村議会は、実施に必要な経費を盛り込んだ予算案については賛成多数で可決した。宜野湾市は20日に、石垣市は25日に市議会で予算案の採決が行われるが否決される公算が大きい。

 県は、県民投票事務は市町村長の「義務」として、仮に議会で否決されても首長が事務経費を支出すると見込んできた。与那国町と浦添市は議会が予算案を否決しているが、首長は経費を支出する意向を示している。

 しかし、議会の判断を尊重するとしている首長もいる。石垣市の中山義隆市長は、市議会が県民投票の補正予算案を否決した場合、経費を支出しない考えを示している。宜野湾市の松川正則市長、糸満市の上原昭市長は、市議会が予算案を否決した場合の対応をまだ明らかにしていない。


 こうした動きは県の事務移譲に同意した自治体にさえ広がる懸念が出てきている。沖縄市議会では20日に県民投票の予算が提案され、本会議で審議予定だ。与党市議は「他市町村の動向を見る限り、このままの流れだと否決だろう」との見方を示し、桑江朝千夫市長は「議会の動向を見てからでないと」と慎重な姿勢を見せている。

 総務省行政課の担当者は県民投票の実施が市町村の義務かどうかについて、「地方自治法では『条例で定めるところによる』と規定している。それは最終的に条例の解釈の話であり、一般論としては答えられない」と述べるにとどめた。

 仮に市町村長が予算を執行しない場合、県としては地方自治法に基づいて市町村に助言や勧告、是正の要求などを行うこともできるという見方だが、まずは下地市長から考えを聞き、協力を得るための説得を続けることにしている。全ての県民が自らの意思を示す機会にできるのか、県にとって正念場を迎える。
 (中村万里子)