国連の「SDGs」ロゴで辺野古反対訴え 政府も推進本部立ち上げ 「海の豊かさ守ろう」目標に反するとピースボート


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土砂投入開始の当日に、国連サミットで採択され日本政府も推進する国際目標のSDGsロゴを掲げて辺野古埋め立て反対を訴えるピースボートのメンバーら=14日、都内のピースボート事務局

 【東京】安倍晋三首相以下全閣僚のほか多くの国会議員が胸につけている17色のカラフルな円形バッジをご存じだろうか。国連サミットで採択された「持続可能な開発」を国際目標に掲げるSDGsロゴで、日本も政府を挙げて取り組んでいる。国連が掲げる17の実現目標の中に「海の豊かさを守ろう」という項目がある。実はここに注目して、政府の方針を逆手に活用する形で、辺野古の埋め立て阻止を訴えかける動きが出ている。

 辺野古の海に埋め立て用の土砂が初めて投入された14日、都内のNGOピースボートの事務局メンバーらは、SDGsマークを掲げて改めて辺野古埋め立て反対の決意を固めた。ピース・ボート共同代表の野平晋作さんは「日本政府がSDGsを推進するなら、生物多様性豊かな辺野古の海を埋めるのはあり得ない」と強調する。その上で今後は辺野古新基地建設反対のさまざまな現場でロゴを広めてアピールしていく考えだ。

国連サミットで採択された、取り組み持続可能な開発(SDGs)で17の国際目標の一つ「海の豊かさを守ろう」を表す日本語のマーク(ピースボート提供)

 外務省などによると、SDGsは2015年9月の国連サミットで採択され、16~30年までの15年間に実施すべき国際目標。「平和と公正をすべての人に」や「人や国の不平等をなくそう」など17の目標を挙げ、「地球上の誰一人として取り残さないこと」を未来像に掲げている。

 日本政府はSDGs実現に向けて16年5月に、安倍晋三首相を本部長とするSDGs推進本部を立ち上げた。17の目標について日本の事情に即して8の優先分野に再構成して具体的な施策と指標をまとめた。政府は8の優先課題に「持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備」のほか、「生物多様性、森林、海洋等の環境の保全」を掲げている。

国連サミットで採択された、取り組み持続可能な開発(SDGs)のマーク(ピースボート提供)

 ピースボートの野平さんは「SDGsは官民一体となって推進していこうと国際社会に約束した。安倍首相は『沖縄に寄り添う』と言いながら、沖縄の民意を無視して辺野古を埋め立てる。国際社会と国内とでも言っていることが真逆だ。共通の目標を掲げた国際社会を裏切る行為でもある」と指摘する。

 安倍政権の姿勢に対しては「約260種の絶滅危惧種を含む5800種以上の海洋生物がいる辺野古の海を埋め立てようとしていて、何が『海の豊かさを守ろう』と言えるのか」とSDGsの掲げる目標の文言に重ねて痛烈に批判する。

 その上で「SDGsのロゴを使うことで日本政府の矛盾を指摘し、政策変更を要求していきたい」と話している。(滝本匠)