レスリングの天皇杯2018年度全日本選手権大会(2019年シニア世界選手権大会代表選考会)は21日、東京都の駒沢体育館で行い、決勝に進んだグレコロマンスタイル63キロ級の山田義起(浦添工高―日体大)、同87キロ級の鶴田峻大(沖縄尚学高出―自衛隊体育学校)、同97キロ級の志喜屋正明(浦添工高―国士舘大―自衛隊体育学校)の県勢3選手は惜しくも敗退した。鶴田と志喜屋は1―2の僅差の内容だった。4年連続の頂点を目指していた同77キロ級の屋比久翔平(浦添工高―日体大、同大大学院、ALSOK)は準決勝で逆転負けし、22日の3位決定戦に回った。同97キロ級敗者復活戦に回った仲里優力(北部農林高―日体大)は3位決定戦を制し、3位入賞を決めた。
◆先制も宿敵に僅差負け 志喜屋
男子グレコローマンスタイル97キロ級決勝で志喜屋正明(自衛隊体育学校)の前に立ちはだかったのは昨年の天皇杯、ことしの全日本選手権の覇者・奈良勇太(警視庁)だった。いずれも志喜屋の日本一を阻んだ宿敵。昨年と同様に先制し、有利に試合を進めたが、最後に奈良にかわされ、1―2の僅差で優勝がこぼれ落ちた。
志喜屋は低い位置から相手を突き上げるように攻めた。パッシブで先制し、パーテレポジションから得点を狙いにいったが、奈良に逃げられた。第2ピリオドで奈良が重心を低くすると、うまく攻めきれなくなる。それでも体力に自信のある志喜屋は何度も攻め込んだ。
しかし、逆にパッシブを取られ、グラウンドの不利な体勢からもしっかりと逃げ切ったが、最後にさらにパッシブを取られた。志喜屋は「攻め方の印象というのもあるが、チャンスをものにできなかったのが大きい」と分析した。
東京五輪出場へ向け来年の全日本選手権での優勝が必須となった。「フリーの組手を混ぜた、今のレスリングスタイルは自分に合っている。変えるつもりもない。けがをしないように、来年に臨みたい」と世界最高峰の舞台を狙いにいく。
(屋嘉部長将)
◆屋比久 「V4」ならず 絶対王者、準決逆転負け
4連覇を狙ったグレコローマンスタイル77キロ級の屋比久翔平(ALSOK、日本体育大大学院)が準決勝で敗れた。試合終了間際に相手に投げを食らい、チャレンジをするも失敗に終わった。大喜びする相手を横目に屋比久は頭を抱えた。報道陣の前を無言で一度通り過ぎるなどショックは隠せず、戻った後も「日本人に負けたのは3年ぶり。決めの甘さがあった。それだけです」と言葉少なに振り返った。
初戦をフォール勝ちするも、慎重になりすぎている様子も見えた。準々決勝はパッシブ2回による得点にとどまった。
準決勝はパッシブで先制するも、投げの得意な相手に投げられて逆転を許す。それでも屋比久も投げ返し2点を奪い、1点リードで終盤を迎えた。終了3秒を切った場面、首投げを決められ、土壇場で敗れた。観客席から声をかけ続けていた父・保さん(北部農林高校レスリング部監督)は「確実に勝つために慎重になっていた。前回王者としてのプレッシャーが見えた」と敗因を分析した。
22日には、まだ3位決定戦も残っている。「まずしっかり勝つのが大前提」(屋比久)。「絶対王者」の瞳はくすんではいない。
(屋嘉部長将)