BHB生産細菌発見 沖縄海域 脳機能に効果、特殊プラも 県工業技術センター


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海洋細菌ハロモナスについて説明する県工業技術センター環境・資源班の世嘉良宏斗主任研究員=7日、うるま市の県工業技術センター

 沖縄県工業技術センターは、β―ヒドロキシ酪酸(BHB)を大量に生産できる細菌「海洋細菌ハロモナス」を沖縄の海から発見した。BHBは、脳機能の改善や糖尿病症状の緩和などの効果があるほか、自然環境中で分解される特殊なプラスチックをつくる性質も持つ。しかし大量生産の技術が確立されていなかったため製品化が進んでいない。発見した海洋細菌ハロモナスは、同センターが従来研究に使っていたハロモナスの100倍以上のBHBを生産できるため、健康食品の開発や環境にやさしいペットボトルの製品化が期待される。

 ハロモナスは数種類存在し、従来のハロモナスはエサを摂取するとBHBを菌体内で生産し、特殊なプラスチックの状態でため込む。BHBのみを取り出すには、菌体内からプラスチックを取り出しさらに分解する手間が必要だった。菌体内だとBHBの量も限られる。

 海洋細菌ハロモナスはエサを取り込むと、菌体内に特殊なプラスチックをつくるだけでなく、BHBを菌体外に大量に生産するため、菌体内からBHBを取り出す手間や分解の時間やコストもなくなる。

 現在は技術移転するため、共同研究している金秀バイオと甲南化工に海洋細菌ハロモナスの提供や培養装置の導入をしている。特許を出願中だ。

 県工業技術センター環境・資源班の世嘉良宏斗主任研究員は「特に脳機能改善が期待でき、アルツハイマーの人がBHBを摂取すると脳機能が改善するという結果もある。製品化を期待している」と話した。
 (中村優希)