還暦前40年越し熱戦 辺土名-豊見城 78年総体県予選決勝を再現 衰えぬ技、豊見城が雪辱


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40年ぶりに一戦を交えた辺土名高校OB(白)と豊見城高校OB=23日、沖縄市体育館

 23日、バスケットボールBリーグの琉球ゴールデンキングスの試合後、プロの試合にも劣らない「熱戦」に会場が沸いた。1978年、全国総体で3位入賞し「辺土名旋風(せんぷう)」を巻き起こした男子辺土名と豊見城のOBが当時の沖縄県予選決勝を再現した。還暦を手前にした往年の名選手らは、当時を思い出すようにトリッキーなプレーや息の合った連係を披露。当時は124-86で辺土名が勝利したが、今回は21-17で豊見城に軍配が上がった。選手だけでなく、バスケファンも堪能する40年越しの名勝負だった。

 当時の辺土名は平均身長170センチと小柄ながら、速さと高い技術を生かして全国の強豪に対抗し、3位の快挙を達成した。辺土名と互角の勝負を繰り広げていたのが豊見城だ。各大会の決勝で顔を合わせては、延長戦にもつれこむなどの接戦を演じ、新人大会は1点差の際どい内容だった。

 再戦のきっかけは1年ほど前。40年前に辺土名でコーチを務めていた安里幸男さん(65)の自宅に、豊見城OBの玉城正規さん、上原一規、新里英規さんら3人が訪れた。豊見城-辺土名の決勝はテレビで放送されており、ビデオを見た3人は、拳をぎゅっと握り締めながら「あーここはもっとできた」「本当はわれわれが(全国切符を)取るはずだった」と当時の感情をむき出しにし、悔しさを募らせたという。その姿を見た安里さんが「お前たち、再戦してみるか?」と問いかけると、3人は「やりましょう」と即答した。

 安里さんはキングスの関係者に掛け合い、12月21日の「バスケットボールの日」と近い、23日に合わせて試合を組んでもらうように交渉した。当日は沖縄初の日本代表選手、平良勝利さんや当時の大城春信監督(豊見城)や新垣悟監督(辺土名)も試合観戦に訪れた。バスケ関係者が多く見守る中、試合は行われた。結果は豊見城が勝ち、玉城さんは「ここでリベンジできて、本当に良かった」と話した。

 試合を終えて、辺土名OBの金城健さんは「あの頃のプレーのイメージは全く変わらなかった。こんな日が来るなんて、最高だね」と喜んだ。安里さんは「少年時代に戻れるのはすごく良いこと。まだまだ名勝負は数多くある。みんなが知ってもらえるきっかけになってほしい」と話した。
(喜屋武研伍)

0年ぶりに一戦を交えた辺土名高校OB(白)と豊見城高校OB(黒)。安里幸男さん(前列左から2人目)らも応援に駆け付け見守った。