沖縄3区補選 与野党の全面対決に 勝敗、知事求心力に直結


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 来年4月21日投開票の衆院沖縄3区の補欠選挙に向け、県政与野党の候補者が出そろった。与党はフリージャーナリストで新人の屋良朝博氏(56)を、野党の自民党は元沖縄北方担当相で内閣府大臣補佐官の島尻安伊子元参院議員(53)を擁立する。選挙戦は2氏による事実上の一騎打ちとなる見通しだ。知事選と同様に米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非を最大の争点に「オール沖縄」勢力と、新基地建設を進める政府与党の全面対決となる。来年夏の参院選を占う前哨戦にも位置付けられ、激しい選挙戦になりそうだ。

 衆院補選は玉城デニー知事の自動失職に伴うもので、知事選後の最初の国政選挙となる。玉城知事就任後約7カ月後に行われる選挙は玉城県政の評価も問われる。選挙結果は玉城知事の求心力や今後の県政運営にも大きな影響を与える。

 補選への出馬を承諾している島尻氏は、沖縄担当相時代の実績や補佐官として沖縄振興に注力したとして、桑江朝千夫沖縄市長や渡具知武豊名護市長からも推薦されたほか、県内経済界からも後押しがあった。島尻氏自身も知事選後から本命だった夏の参院選ではなく、「勝算の高い」(自民関係者)補選に照準を合わせ、北部を中心に経済界の会合などに顔を出し、支持を呼び掛けていた。

 一方、島尻氏は現職の時から辺野古移設を容認する姿勢を明確にしており、普天間飛行場の県内移設に反対する公明と今後、どう政策を擦り合わせるかが焦点となる。知事選の敗北で自公態勢の立て直しが課題となっている中、補選で強固な共闘関係を築けるか注目される。

 28日に出馬要請を受諾した屋良氏は民間シンクタンクの「新外交イニシアチブ」の評議員として、新基地を建設しなくても普天間飛行場の移設は可能との持論を発信してきた。与党関係者によると、玉城知事は「最初から屋良氏の擁立に賛意を示しており、国会の場で基地問題を発信してほしいと思っていた」として、12月上旬には玉城知事と屋良氏との間で、既に出馬に向けて話し合いを終えていたという。

 一方、与党内では稲嶺進前名護市長(73)を依然求める声もあり、選挙戦に向けた与党の結束維持が焦点となる。さらに、屋良氏は当選した場合、自由党に所属することが決まっていることに対して与党の一部から不満もある。屋良氏が「オール沖縄」の候補として全面的な支援を得られるか、与党内の今後の議論に注目が集まる。 (吉田健一)