J1浦和・大城、プロへ静かな闘志 憧れ舞台「まずは出場」 トップチーム昇格


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帰省し仲間とフットサルで汗を流す浦和レッズのDF大城蛍(中央) =2日、与那原町のフットサルパーク東浜(大城直也撮影)

 サッカーJ1の強豪、浦和レッドダイヤモンズで、沖縄県出身では初めてトップチーム入りした18歳のDF大城蛍(けい)=与那原町出身=がプロ入りを前に、年末年始のオフを地元で過ごし、2019年シーズンへ向けて調整している。日本代表も多く輩出しているJ1屈指のチームでプロ生活をスタートする。大城は「まずは試合に出場することが大事。いつでも出られる準備をし、結果を残したい」と静かな口調の中に、熱い闘志を示す。
(外間崇)

■生活面で苦労

 与那原中学3年の12月、親元を離れ埼玉県に移り住んだ。寮生活を送り、近くの中学校に通いながら、浦和レッドダイヤモンズのユースチームに所属し、練習を重ねた。県外での生活に「移った最初のころは私生活面で多くの苦労があった」と振り返る。

 高校入学後は思ったようなプレーができなかった。ユースチーム卒業後は大学進学も視野に入れ、昨年6月には推薦での進学も決まった。しかし同時にレギュラーをつかみ始めると、先を読む判断力に磨きをかけ、ボランチとしてチームの主力に成長。「攻守の要として、勝利へ必要な存在となっていったと思う」と自身でも飛躍を実感した。

仲間たちのエールを受けトップチームでの活躍を誓う浦和レッズのDF大城蛍(前列左から5人目)

■主力へと成長

 クラブチームや高校の強豪校が参戦し、高校年代では最高峰のリーグとされる高円宮杯U―18プレミアリーグ2018では昨年9月、富山第一高戦でハットトリックを完成させ、勝利に貢献した。

 「3本ともコーナーキックでの得点だった。1本は頭で合わせ、2本はニアからゴール前に送られたボールをタイミングよく押し込んだ」と得点シーンを思い返す。「セットプレーではチームで一番多く得点していると思う」。持ち前の身体能力の高さに加え、プレーの幅を広げてきた。

■進学やめ決断

 昨年12月10日、トップチームへの昇格が球団から発表された。ユースで15~16人いる同期選手の中で3人だけだ。決まっていた大学進学を取りやめ、プロとしての道を決断した。

 昨年のリーグ終盤にはJ1の試合でベンチ入りも経験した。個々の能力の高さを痛感し、ボールにどのようにアタックしていくのか、試合の流れを読んでどのように動くのかなどを自身の目で直接学んだ。

 憧れの選手にチームの先輩で日本代表の槙野智章を挙げる。「積極的に声を出し、試合を仕切っている。トップでは守備的な位置が予想されるので、しっかり守りから攻撃につなげられるプレーを心掛ける」と新たな目標もできた。

 与那原小3年時にイレブン与那原に入り、その後でWウイング沖縄FCに移ってからは、フットサルも行いながら、足元のテクニックや素早い判断力を養った。毎年恒例となった年明けすぐのWウイング沖縄FCのOB会は、次のシーズンに向けて初心に帰る貴重な時間だ。

 180センチ、73キロ。今でも細身だが、中学入学時からこれまで15キロほど体重を増やした。トップチームでのプレーに向け、もう数キロの増量を図っている。当たり負けしない体づくりも、ルーキーイヤーでの課題となる。

 「不安もあるが、育ててくれたクラブやこれまで応援してくれた両親や友人らにプレーで恩返ししたい」。仲間たちの声援を力に、幼いころから憧れの舞台だったプロとして、この春からJ1のピッチに立つ。