埋め立て賛否にかかわらず「投票したい」の意思に首長はどう応えるか


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 〈解説〉2月24日に実施される辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票について、琉球新報社と沖縄テレビ放送、JX通信社が合同で実施した世論調査では、約8割が投票に行くと答えるなど県民投票への関心や認知の高さが示された。テーマとなる米軍普天間飛行場の辺野古移設については、過去の調査と同様に、県内移設に反対する県民世論の根強さが見られる。県民投票を巡っては一部の市で首長が投票事務を拒んでいる現状があるが、全ての市町村での実施を求める回答が7割に達しており、県民の投票の権利が保証されるかどうか行政の対応が問われている。

 辺野古埋め立ての是非を問う県民投票についての世論調査では、投票に「行く」と答えた人は8割近くに上り、投票する意思のある人の割合が高いことが示された。投票に行くと答えた人のうち、埋め立て反対は約78%、賛成は約17%で、賛成の人にも足を運びたい人々が一定程度いることが分かった。3日現在、県内約35%の有権者が住む6市で投票の実施が不透明になっているが、実施しないことで住民の投票権を奪うことの正当性について市長の判断が改めて問われそうだ。

 本島中南部地域では約8割の人が投票に行くと答えた。宮古地域、八重山地域、北部地域では6~8割が投票に行くとした。投票に行くとした割合が最も高かったのは、埋め立て工事が進む名護市辺野古を含む北部地域で、85・53%に上った。この地域では、投票に行くと答えた人のうち、辺野古の埋め立て賛成の人の割合が全地域で比較して高い傾向があり、約2割が賛成、約7割が反対だった。埋め立ての賛否にかかわらず、投票意思のある人が多いことがうかがえる。

 県民投票を巡っては、宮古島、宜野湾で市長が実施しない方針を示し、沖縄、うるま、糸満、石垣の市長は実施方針を示しておらず、これら6市では、投票実施の見通しが立っていない。

 この状況についても調査では、県全体の回答者の約7割が全市町村が「実施するべきだ」と回答した。投票を実施しないとするのは、こうした世論に背を向ける判断といえる。

 下地敏彦宮古島市長が実施しないとする宮古島市と多良間村の宮古地域でも8割の人が「全市町村が実施するべきだ」として住民の投票意思が顕著に表れている。

 4日には、下地市長が県民投票を実施するよう求める県の勧告に回答するとしている。今月中には、県民投票の経費を盛り込んだ予算案を否決した、うるま市と糸満市の議会でも再議が行われる。全ての市町村で実施されるか、市長や議会の判断が注目される。 (中村万里子)