沖縄市長、投票二者択一を批判 県民投票不参加表明


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 辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票を巡り、宮古島市、宜野湾市に続き沖縄市の桑江朝千夫市長が事務の執行をしないと表明した。先んじた2市長と同様に、関連予算を否決した市議会の判断を尊重したと強調する桑江市長だが、投票参加の機会を奪われる有権者や識者からは批判の声が上がっている。玉城デニー知事は9日に下地敏彦宮古島市長と面談して協力を直接要請する対応を決め、全市町村実施に向けた説得は正念場を迎える。

桑江朝千夫市長

 桑江朝千夫市長は会見で二者択一の選択肢に批判的な考えから、投票率が低い結果に終わることを念頭に「(投票を)かえってやろうかとも思った」と明かした。

 年明け4日の与党市議との会合で桑江氏は「投票実施も含めて検討する」と語っていたという。いわば身内である与党との非公式会合で判断を明らかにしなかったことから、議員の中には「実施の方向だ」との受け止め方もあった。

 与党市議の一人は再議の否決後、支持者から「実施してほしい」と意見された。「(与党の意向とは別に)投票を実施するなら、それはそれで市長の判断だろう」と原案執行も受け入れる考えだったという。事実、与党各会派はどのような判断であっても市長決定を尊重するとの確認を取り付けていた。

 態度表明の会見を2時間半後に控えた7日正午、桑江氏は再び与党を集め、不参加を説明した。理由について詳しい説明はなく、市長判断を尊重すると確認していた議員らからは特に質問は出なかったという。

 桑江氏は会見で選択肢が二者択一であることを強く批判した。

 「投票率を下げるとか、白紙で行こうとか、そういった運動をして戦っていけばいいのかなと思った」と判断過程の心中を明らかにした。

 一方、実施すると判断した場合、「(投票に)行くなとは言えない」とも述べ、投票率の低下を見込んで予算を執行することはできないと説明した。