ガソリンがない!製品を運べない!島民の生活に打撃 沖縄・波照間島で貨客船が運休 モーター故障で10日余 再開未定


この記事を書いた人 Avatar photo 高良 利香
故障のため運休しているフェリーはてるま=8日、石垣港

 【波照間島=竹富】石垣島と竹富町波照間島を運航する貨客船「フェリーはてるま」が故障し、先月28日から運休している。運航する安栄観光(石垣市)は11日に臨時便を運航する予定だが、島の輸送の中心的役割を担っているだけに、燃料や生活物資の入荷が滞るなど影響は多方面に広がっている。特に最盛期を迎えるサトウキビの製糖操業の関係者は頭を抱える。島民からは早期再開を望む声が上がっている。

 石垣島と波照間島を結ぶ船は、毎日就航している旅客船のほか、貨客船の「はてるま」が週3、4回運航する。物資の輸送は旅客船でも行っているが、量は限られており、「はてるま」が主に担っている。

 「はてるま」は建造から30年が経過し、老朽化が進む。安栄観光によると、先月27日、かじを駆動させる油圧モーターが故障したという。修理に必要な部品の到着は最短でも今月13日。運航再開は部品取り換え後で、安栄観光は運航再開日は未定としている。

 運休から12日、影響が広がり始めている。宅配の遅れが生じているほか、島で唯一の給油所である波照間石油販売所は8日午前にはガソリンの在庫がなくなり、販売を停止した。担当者は「灯油もほぼない状況だ。軽油は在庫はあるが、製糖期のため運休が長引けばどうなるか」と危惧する。

 島の基幹産業の製糖では、貨客船の運休で島外への製品出荷が順調に進んでおらず、製糖の保管庫が埋まった場合は工場の操業を停止せざるを得ない事態に陥るという。波照間製糖工場の金武清也所長は「来週まで事態が続けば、工場を停止しないといけなくなるだろう。そうなると農家の手も止まるが、従業員への賃金は発生するので影響は大きい」と強調する。「生活航路として一日も早く再開してほしいし、老朽化でこのようなことが起こらないように船の更新を急いでほしい」と訴えた。

 これに対して、安栄観光の平安名浩文執行役員・統括部長は「非常に申し訳なく思っている。11日の臨時便では最優先でガソリン類を輸送したい。唯一の生活路線との認識はあるので、一日も早く運航が正常化できるように作業を進めたい」と話した。