「苦しい経験をしているからこそ、わかることがある」 名護高の上田さん、社会課題の解決提言で最優秀賞


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リーダーズサミットでの体験を通し「自分だからできることを考えるようになった」と話す上田星里奈さん(左)と母の里奈さん=12月28日、琉球新報社中部支社

 【沖縄】次世代リーダーの育成を目的にさまざまな苦難を経験している全国の若者が東京に集い、チームに分かれて社会課題の解決を提言するジャパン未来リーダーズサミットに名護高校3年の上田星里奈さん=沖縄市=が参加し、上田さんのチームが最優秀賞を受賞した。チームの6人は12月に再び東京に招かれ、国会議員会館や首相公邸で提言を発表した。

 上田さんは全国の同世代と思いを分かち合った経験を振り返り「苦しい経験をしているからこそ、同じ苦しみのある人たちに、どうしたらいいか分かることもあるんだ、と分かった」と話した。

 プログラムは奨学金事業などを実施する一般財団法人教育支援グローバル基金が開催。親との離別や死別を経験している生徒、経済的に厳しい状況にある若者らを東京に集め、10月に2泊3日の日程で行われた。

 全国から72人が参加。日本の子どもたちが安心・安全に暮らしていくための提言をチームに分かれてまとめた。上田さんのチームは、貧困の連鎖を断ち切るためには貧困について知ることが必要で、小学校や中学校の授業などで学ぶ機会を設けることなどを提言した。

 最優秀賞の上田さんのチームは12月に再び東京に集まり、提言をさらに深めた後、議員会館などで提言を発表。首相公邸では安倍昭恵首相夫人にも発表した。

 上田さんは5人きょうだいの母子家庭の長女で、名護高校の寮に入っている。経済的に厳しいため「自分がかわいそうと思うこともあったが、プラスだと考えるようになった。そういう経験のある自分だからできることがある」と話し、将来は児童支援活動をするNPOなどでボランティアとして関わっていきたいという目標を持っている。

 母親の里奈さんは、こうしたプログラムや奨学金に関する情報などに、ひとり親世帯が接する機会が少ないとした上で「同じように経済的に厳しい状況にある他の生徒たちにも知ってもらい、挑戦してほしい」と話した。