県民投票 全県困難 市民「諦めないで」 日程変更、条例改正訴えも


社会
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 辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票に宮古島、宜野湾、沖縄、石垣の4市長が不参加を表明する中、玉城デニー知事が投票日などの変更はせず現状のまま県民投票を実施する考えを示したことに、市民や市民団体などは「見切りを付けるのは早い」「全県実施の可能性をもっと模索してほしい」などと玉城知事に再考を求める声が上がった。

 県民投票の全市町村実施を求める会の照屋寛之共同代表は「事実上、全県実施は難しい」と危機感を示した上で、選挙人名簿の閲覧制度に言及し「公益性が高いと認められた場合は閲覧できる規定がある」と指摘する。県は閲覧も難しいと否定的だが「市民の提起で決まった県民投票だ。閲覧までも認めないのは県民投票自体を不当と見なす判断で、妨害行為に等しい。条例改正が伴うが、県による投票事務代行など全県実施を諦めないでほしい」と求めた。

 宜野湾市の60代女性は投票事務を拒む市長の不当性を指摘した上で「県も『一人も取り残さない』というのであれば一人一人の投票権を保障するという視点を大切にしてほしい」と訴えた。「条例改正など難しいかもしれないが、何よりも参政権が大事にされるべきだ」と指摘した。

 1997年の名護市民投票を進めた宮城康博さん(59)は「スケジュールありきでなく、全自治体が可能な日程を織り込んだ上で、実施日を決定してもいい」と全県実施の意義を強調。設問の選択肢に関しても「県民のさまざまな意見を取りこぼさないためにも、選択肢はいくつあってもいい。県議会で丁寧に議論していくべきだ」と述べた。

 沖縄市長の判断に不服申し立てをした照屋正史さん(62)=同市=は「地域によって意思表明できない県民がいるのは不平等だ」と主張。県には地方自治法に基づく「是正の要求」の対応を求めたいとし「市民にできることは声を上げ続けることだ」と話した。

 「県民投票実現!みゃーくの会」の岸本邦弘さん(57)=宮古島市=も「許されないのは拒否する首長だ。全県実施が望ましいが、できる地域で民意を示すことはできる」と強調した。