普段はおおらかな性格で笑顔がまぶしい青年だが、ひとたびサッカーの話になるときりっと引き締まる。FC琉球の元プレーヤーで那覇市出身の宮城晃太さん(25)=那覇西高―大阪産業大出=が、国際協力機構(JICA)の海外青年協力隊員として、カンボジアでサッカーを指導する。JICAの担当者は「元プロスポーツ選手が派遣されるのは極めて珍しい」という。沖縄とカンボジアの懸け橋となる宮城さんは、「沖縄の子供たちが世界に羽ばたけるような環境をつくりたい」と未来を描き、活躍を誓う。
(喜屋武研伍)
大学を卒業後、2016シーズンから琉球でプロ生活をスタートした。しかし現実は厳しく、ベンチ入りはするものの試合に出場できず、「先が見えない」状態が続いた。球団からジュニアチーム監督の誘いもあり、悩みに悩んだ末に、プレーヤーとしてではなく、指導者の道に進むことを決断。17年はジュニアの監督、18年はユースのコーチを務めた。
大学時代から海外選手と触れ合う機会が多く、異なる文化に関心があり、「いつか自分も海外で活躍したい」と思いがあったという。指導者になってからもその思いが色あせることなく、憧れは強くなっていった。いろいろと調べている間に青年海外協力隊のことを知り、「これなら自分のこれまでの経験を生かすことができる」と思い立ち、すぐさま応募した。
21日に出発して、派遣は2年間。カンボジア・クラチェ州のユース育成校で、コーチとして技術や精神力向上のための指導を行う。カンボジアのFIFA世界ランキングは172位(2018年12月)。まだまだ練習環境が整備されず、途上にあるカンボジアのサッカーに、宮城さんは「沖縄と似ている」と感じている。競技に対する考え方や技術を教えることはもちろんだが、国内遠征にも重点を置いていく。
広い世界を知ることで「いろいろなものを感じてほしい」と自らの経験から痛感する。
琉球の選手で、同期の増谷幸祐選手も「沖縄らしい性格でみんなに好かれている」と人柄に太鼓判を押し、人望も厚い宮城さん。「沖縄とカンボジアをつなげたいですね」
沖縄とカンボジアの交流を通し、互いに成長し合うことが目標だ。屈託のない笑顔で夢を語る25歳は、真新しい世界が楽しみでしょうがない。