沖縄・北谷町桑江区の住宅地 町管理で避難路確保へ 懸案40年 転回広場の使用も


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 【北谷】北谷町桑江区の宅地で、管理が曖昧になっているため、住民が車両の転回広場と緊急時の避難通路を40年近く使用できていない問題があり、北谷町が管理権を町側に移すことによる解決を目指している。一部は既に町が管理権を取得している。解決を嘆願してきた住民らは「緊急時にこれらの使用ができない状況が放置されれば命に関わる」などとして、一日も早い全面解決を訴えている。

 桑江区の宅地開発は1977年に実施された。住宅を挟む道路が行き止まりになることから、当時の開発行為許可申請の添付図面では転回広場3カ所と緊急時に住民が使用する避難通路2カ所が設けられた。本来は都市計画法第39条に基づき、道路を含めた公共施設は市町村の管理になるが、開発の際に、業者が管理者として県から同区の開発許可を得ていた。

 その後、業者が解散したため85年に道路は町道として認定されたが、町によると、転回広場と避難通路は地籍に記載がなく、町道認定と同時に管理の指定替えができずに放置された状態になったという。この間、売買による土地所有者の変更もあり、約40年間、転回広場と避難通路は管理者が明確でなく、民間の所有者らが車庫などとして使用しているため、同区の宅地へ進入する車両が転回できず、避難経路として使用できない状態が続いていた。

 解決を求める住民からの嘆願を受け、町は昨年1月、広場と通路を町の管理とするため、開発許可を与えた県に対し「現在の所有者と協議し、町道の区域に含め、町が管理することで当該公共施設の機能維持を確保する」との方針を伝えた。県土木建築部は町の方針を認めた上で「協議および調整の結果、疑義が生じた場合は、再度県と調整を行うものとする」と回答。町は地権者と協議した上で、昨年8月に転回広場1カ所と避難通路1カ所を町の所有とした。

 残りの広場と通路について、町建設経済部の松島勲部長は昨年の町議会12月定例会で「町へ帰属され、本来の機能を回復し、維持できるよう各施設の所有者へ説明し、協議を重ねる」と述べた。宮里歩氏の一般質問に答えた。ただ、町の担当者は取材に対し、所有者との協議の進展について「いつごろまでに全て解決するかどうかの見通しは立てられない」と述べた。

 嘆願を続けてきた住民の男性は「40年以上も生活に不便を強いられている。災害があった場合は避難ができくなる可能性もある。当事者が高齢になり、世代交代などでうやむやになればずっとこの状態になってしまう」と話し、一刻も早い解決を求めた。