北部病院統合へ新財団 沖縄県、指定管理導入を検討


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(左から)県立北部病院、北部地区医師会病院

 【北部】沖縄県立北部病院と北部地区医師会病院を統合し基幹病院を整備する計画で、県が指定管理者制度による経営を検討していることが16日、関係者への取材で分かった。北部基幹病院を運営する財団法人を新たに設立させ、指定管理者とする考え。県内の県立病院は現在、地方公営企業法の全部適用で経営している。指定管理者制度になれば、北部基幹病院だけが異なる経営形態となる。

 統合の基本的枠組みに関する協議の第5回会合が16日、名護市の北部会館で非公開で行われた。県によると、協議の場で北部地区医師会病院が具体的な経営システムを提案したという。医師会病院の同提案に対し、県が前向きに検討する姿勢を示した。医師会病院は、これまでも指定管理者制度による経営形態を求めていた。

 県は当初、統合してできる基幹病院も地方公営企業法での経営を想定して収支シミュレーションを策定していた。

 第5回協議では設置主体を県と北部12市町村とし、北部基幹病院を運営する財団法人を設立し、独自のノウハウを用いて病院を経営する案が示された。

 経営の自由度も大きく増す見込みだ。公募によって指定管理者を選ぶと、指定管理料や投資は他の県立病院とのバランスが求められる。

 新たに財団を設立して運営主体とした場合には、市町村の財政状況を考慮することも想定される。病院の裁量が増え、健全な経営が実現しやすくなるメリットがある。

 県保健医療部の砂川靖部長は16日の協議後、具体的な内容は伏せつつ「医師会病院側から提案が出て、県、北部12市町村で持ち帰って前向きに検討しようということになった」と説明した。

 29日には第6回目の協議が開かれ、県と12市町村の検討結果が示される。

 北部市町村会会長の當眞淳宜野座村長は「北部の医療は逼迫(ひっぱく)している。打破していかないといけない」と述べた。