災害時の避難 スムーズに 泡瀬特別支援学校 県内初、簡易スロープ設置 「夢創造の会」が協力


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災害時避難用の簡易スロープを車いすで上る実験をする泡瀬特別支援学校の職員ら=10日、沖縄市の同校

 災害時の迅速な避難を目的に沖縄市の泡瀬特別支援学校で10日、沖縄県内で初の階段避難用の簡易スロープが設置された。阪神・淡路大震災や東日本大震災などの被災地支援をしてきた元近畿経済産業局の職員らが中心の「夢創造の会」が考案したもので、軽量で女性でも簡単に設置できるのが特長。設置のために西宮市から駆け付けた同会世話人の川端俊次さんは「災害時は何よりも備えが大切。ぜひ有効に活用してほしい」と呼び掛けた。

 泡瀬特別支援学校は、車いすの生徒が95%を占める。災害時に備え普段から避難訓練に力を入れているが、校舎2階と3階からの迅速な避難が課題だった。「夢創造の会」の簡易スロープを紹介するネット記事を見た同校職員からの要請で今回の設置につながった。

 スロープは木製で、車輪が外れないようになっている2枚の板を階段の長さに合わせて平行に設置し、階段の最上段部と下段をマジックテープで固定する。同校職員らは設置後、車いすに乗って試した。車いすの両脇と後方を職員が支え、ゆっくりとスロープを降りる。車いすに乗った渡久地直哉教頭は「後ろを向かなければ降りるのは意外と怖くない。車いすのまま移動できるのは良い。避難手段の一つとして有効だ」と好感触を示した。

 川端さんは「災害時には電気が止まるためエレベーターは動かない危険性が高い。そのため電気が要らず誰でも容易に設置できるものを目指した」と振り返り、「簡単に製作することができるので他の学校でも取り組みが広がってほしい」と思いを込めた。