西表島 自然守り観光を 沖縄県がマナーブック配布へ


社会
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「西表島マナーブック」をPRする関係者ら=15日、石垣港離島ターミナル

 【西表島=竹富】世界自然遺産登録を見据え、沖縄県は自然遺産候補地である竹富町西表島の豊かな自然と島民の生活環境を守ろうと、観光客に配布する「西表島マナーブック」を発行した。県などが15日、石垣港離島ターミナルで会見を開いて発表した。島民からの聞き取りを基にまとめた、島で観光する上での注意点がイラスト付きで紹介されている。

 西表島には現在年間35万人ほどの観光客が訪れているが、一部の観光客の行動が自然・生態系や島民生活に支障を与えているとの指摘がある。自然遺産登録後には観光客が急増し、さらに負担が増すとの懸念も強い。

観光客に配布される「西表島マナーブック」

 マナーブックでは国の天然記念物イリオモテヤマネコの事故が多発していることからロードキルに関する注意や、自然や生態系に影響を与えないための観光マナーを紹介。また、景勝地で人の排せつ物による悪臭が問題になっていることからトイレに関する注意点や、島民の生活の場を乱さないような行動についてのアドバイスなども盛り込まれている。

 マナーブックの発行は世界自然遺産普及啓発事業の一環で、10万部を発行しており、2019年度には英語・中国語にも対応する予定だという。石垣島と西表島を結ぶ船舶を運航する3社(八重山観光フェリー、安栄観光、石垣島ドリーム観光)や日本トランスオーシャン航空の協力により配布・普及を図る。15日から配布を始めた。

 会見で大浜浩志県環境部長は「豊かな自然環境を次の世代に引き継いでいきたいとの思いから制作した。自然に配慮するきっかけにしてほしい」と話した。上亀直之竹富町観光協会長は「私たちには常識だが、観光客には常識でないこともある。島の自然や住民を守るためにも利用してほしい」と呼び掛けた。