経済

「敵対的買収」を否定 苦境の中、外資に活路 オリオン買収

オリオンビールのMBOについて経緯を説明する野村キャピタル・パートナーズの前川雅彦社長(右から2人目)=23日午後、浦添市城間のオリオンビール

 オリオンビールが23日、マネジメント・バイアウト(MBO)方式での買収に賛同すると正式に表明した。ビール業界全体が厳しい状況の中で野村ホールディングス(HD)と米カーライル・グループの支援を受け、企業価値の向上を目指す。一方で買収後も沖縄に根差した企業として存続することを願う声も上がった。

 「これは敵対的買収ではないんです」。野村HDと米投資ファンドのカーライル・グループによる買収受け入れの発表を翌日に控えた22日夜、オリオンビールの嘉手苅義男会長は強い口調で断言した。オリオンが投資ファンドの傘下に入ることが明らかになると、多くの県民は地元のビール会社が乗っ取られることを不安視した。23日に買収受け入れを発表したオリオンや野村HD、カーライルの担当者も「友好的」であることを重ねて強調した。

 ビール市場は大手でも苦戦を強いられ、県内でも売上高が減少するなど厳しい状況だ。オリオン営業戦略部長の亀田浩氏は「オリオンのブランドは好きでグッズなどを購入しても、オリオンのビールを飲んでいないケースが多い。消費者のニーズをつかまえきれず、満足してもらってないのでは」と分析する。

 株主の高齢化に伴い株式の現金化を求める声も多いという。現状を打破して企業価値を高めると同時に、株主の要望に応える手法として、オリオンは県外や海外の資本を受け入れることに決めた。野村HDとカーライルの担当者は「(オリオンの)経営者の理解を得なければ進められない話だった」と言い、3者が協力していることを前面に押し出した。

 野村HDとカーライルのオリオン買収が友好的に進められたことが強調される中で、県内経済関係者は「(3者が)言っていることを素直には受け止められない」と言い切る。オリオンは資金力があり、不動産も豊富にあることから「何か新たなことをやろうと思えば自分たちの力でできたはず。ファンドから資金を受けるような経営環境ではない」と見ている。

 投資ファンドは企業を買収して、益を出した上で売り抜けることを主な手法とする。野村HDやカーライルは、オリオンの企業価値を高めて新規株式公開(IPO)につなげることが目標と発言した。ブランド価値を高めて株価を上げ、伸びしろがあるうちに売るとしている。それでも同関係者は「全国的にアルコール離れが進む中でどのように戦うのか。出口戦略が見えにくい。(IPOなどは)後付けの理由のように思える」と疑問を抱く。

 23日の記者会見で配布された資料には、オリオンの成長なども期待される今回の動きについて「第2の創業」と記載された。「わったー自慢」として県民に愛されてきたオリオンビールに県外や国外の資本が入ることで、どのような変化をもたらすのか。オリオンは新たなスタート地点に立たされた。