沖縄県内大会で無敗のチーム支える172センチガード 平良宗龍「夢はNBA」


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12歳だが、キングスU15の「飛び級」練習生として中学生と練習する平良宗龍(手前右)=22日、南城市

 急成長で常勝チームとなった沖縄県那覇市立さつき小学校ミニバスケットボール部で、チームを引っ張る6年の平良宗龍(12)が、県内外から注目を集めている。現チームは県内大会無敗で、1月の全九州熊本大会で優勝した。残すは3月の全国大会のみ。172センチと高さのあるガードとして評価は高まり、県外の中高校からも勧誘の声が掛かる。平良は「夢はNBA。アメリカへの進学も考えている」と世界も視野に練習を続ける。 (嘉陽拓也)

「飛び級」

 22日、南城市で行われた琉球ゴールデンキングスU15の練習。先日のBリーグユースチーム全国大会を制した中学生に交ざり、平良の姿もあった。12歳ながら実力が認められ、初の「飛び級」での練習生となった。全国の頂点に立った先輩らにボールハンドリングで劣らず、1対1でスチールも決める。その様子に、キングスU15の山城拓馬監督も「キレとスピードがすごいでしょ」と感嘆の声を上げてしまうほどだ。

 平良は競技経験者の父・監司郎さんが育てるバスケ4兄弟の次男。兄の影響でミニバスケを始め、2年で転校したさつき小では父親が監督を務める。親子でバスケ漬けの日々を送り、練習では厳しい父の下で、レイアップシュート500本や1対1の猛練習で腕を上げてきた。仲間と切磋琢磨(せっさたくま)してきたおかげで、さつき小は弱小から強豪へ。2017年全関西交歓大会では接戦が続いたが「そういう状況こそ自分が攻める」(平良)と、責任感を持ったプレーを心掛け、個人技でチームを頂点に導いた。

「夢はNBA」と語った平良宗龍

海外試合で成長

 18年3月の全国ミニバスケ大会は唯一、魚崎(兵庫)にのみ破れた。6年になってからは無敗。実力が認められ、昨年末に日本バスケット連盟による12歳以下の日韓交流試合(韓国)のメンバーにも選ばれた。

 国内ルールでは守備はマンツーマンのみだが、韓国強豪チームはゾーン守備を展開してきた。突破力がある平良だが「180センチ以上の選手のカバーが速く、やりにくかった」。そのため視野を広く、相手守備にズレをつくってのキックアウトなどで味方の得点を演出するアシストにも専念。海外試合でガードとしての引き出しをさらに増やした。

親子で奮闘

 そんな息子の成長を監司郎さんは「予想以上」と喜ぶ。自身は社会人チームで壁を感じて引退したが、指導者として競技に戻った。介護士として深夜に働きながら、夕方から夜までが指導と家族団らんの時間になる。自身の夢の続きを押し付けず、環境を整えて伸びてゆく息子を見守ることは「今しかできない、親としての最高の道楽ですよ」と声を弾ませる。

 いま、NBAは渡邊雄太ら日本人選手も活躍する時代だ。平良はトップレベルの選手を輩出する米国の全寮制スポーツスクール「IMGアカデミー」(高校)進学を目指すほか、米国の大学バスケ界の頂点を争う全米体育協会(NCAA)男子トーナメントでのプレーを描く。英語の勉強は「今はちょっと」と苦笑いするが、世界と渡り合えるガードになるため「アメリカに行く」気持ちにブレはない。