県民投票全県確定 政策論議 本格化へ 期日前投票、15日から


社会
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 名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票は、県議会での条例改正を受けて実施を再考してきた5市の最終判断が1日に出そろい、県内41市町村の全実施が決まった。14日告示、24日投開票の日程が目前に迫る中、米軍普天間基地の辺野古移設を巡る政策論議がようやく本格化する。

 辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票の全県実施が1日確定し、今後の焦点は投票率に移る。近年の選挙では、期日前投票が投票率アップに寄与してきたが、遅れて投票参加を表明した4市では、期日前投票の開始までに投票所の入場券が手元に届かない見通しだ。既に準備を進めていた36市町村に遅れはなく、3択への条例改正の影響はない。1日に県が全市町村の担当者向けに開いた説明会でも不満の声などはなかったという。

 県民投票は14日に告示され、15日から期日前投票が始まる。24日投開票の前日23日まで期日前投票でも1票を投じることができる。投票の際には、各市町村から自宅に郵送される投票所への入場券が必要となる。

 5市のうち、7日に発送する宜野湾市以外は、15日までに入場券が届かない公算が大きい。

 ただ入場券が手元にない場合でも、免許証などの身分証を投票所に持参し、本人確認が取れれば投票できる。

 現状では沖縄市は12日、うるま市は12~13日に発送する予定。宮古島、石垣両市は入場券の発注を終えたばかりで、離島ということもあり、15日までに到着するのは厳しいという。投票用紙については県が用意するため影響はない。


◆曲折経て3択決着

 名護市辺野古の基地建設に向けた埋め立ての是非を問う県民投票を巡り、全市町村での実施が実現するまでに県民投票の形態やその位置付けに変遷があった。当初は新基地建設阻止に向けて県民投票の結果を県による埋め立て承認撤回の根拠とするのが県民投票を求める議論の主眼だったが、現在は県民の意思表示が中心だ。

 県議会与党が中心となって県民投票を知事選と同日に実施する案もあったが、まとまらなかった。その後、故・翁長雄志前知事は県民が主体となって県民投票を発議することに言及した。それを受け「『辺野古』県民投票の会」が5月から署名活動を始めた。

 一方、政府が8月にも辺野古海域への土砂投入を開始する構えを見せ、県はそれを阻止する必要に迫られた。県は県民投票の実施を待たず早期撤回に踏み切った。

 県民投票の会は、2カ月で10万950筆(有効9万2848筆)の署名を集めた。県議会では10月、条例請求者の案に沿って賛成・反対を問う県民投票の条例が成立した。だが保守系議員が過半数を占める市町村議会は県民投票に反対する意見書を可決したり、実施の予算案を否決したりした。

 議会の否決を受け、沖縄、うるま、宜野湾、宮古島、石垣の5市長が不参加を表明した。

 県民投票の会の元山仁士郎代表は宜野湾市役所前でハンガーストライキを実施し、不参加自治体に参加を求めた。こうした動きを受けて県議会は先月29日、3択への条例改正案を可決した。

 自民の一部議員による反対で全会一致は崩れたが、5市長は県民投票を実施すると表明した。