DVで借金強要被害の女性へ支援の輪 サッカー関係者、募金呼び掛け


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄県内にあったサッカークラブの男性コーチ(45)から約5年にわたり暴行や脅迫を加えられ、借金を強要された女性(25)を支援する活動が始まっている。女性は男性に対して起こした損害賠償請求訴訟に勝訴し、昨年6月に約566万円の賠償金の支払いを命じる判決が出た。だが現在まで支払いはされておらず、借金苦に陥っている。そのため男性と関わりがあった県外のサッカー関係者が「ミライへ進む会」(元吉志麻代表)を立ち上げ、2018年12月からサッカーマガジンサイト上で募金活動を開始した。募金は女性の借金総額約270万円の返済に充てられる。

サッカーコーチの男性から借金を強要された女性の支援活動をするサッカージャーナリストの江藤高志さん

 過去にサッカーを通じて男性と関わった元吉代表(52)=神奈川県=は「若い女の子が16歳からマインドコントロールを受け、心と体がぼろぼろになった。少しでも助けたい」と話し、支援の輪が広がることを期待する。

 女性は小学校高学年から男性が率いるチームでサッカーに熱中した。16歳のころから男性と交際を始め、暴力や暴言を受けた。成人すると複数の消費者金融で借金を強要され、金は男性に渡した。21歳のころに支援者の助けを得て、男性から離れた。

 女性は刑事告訴を模索したが、証拠は残っていなかった。そこで15年に民事訴訟を那覇地裁に起こした。男性は女性の主張を全面的に否認。最高裁まで争われ、18年6月に女性の勝訴で終結した。賠償金支払いの判決を得たが、現在まで支払いを受けていない。女性側の代理人弁護士が男性の銀行口座を差し押さえ、数回強制執行をしたが、入金はなかった。

 男性を取材したことがあるサッカージャーナリストの江藤高志さん(46)=東京都=も支援者の一人だ。

 江藤さんは「世の中には悲惨な事件は多くあるが、加害男性を知っていたので僕にとっては、この事件は身近だった。借金返済を少しでも助けたい」と語る。

 女性は現在、県外で働きながら毎月4万5千円ずつ返済している。自己破産も検討したが、将来の人生の障壁になることを考え少しずつ返済することにした。

 女性は「支援者には感謝してもしきれない。一時は人を信用することができなくなったが、こうやって私のために動いてくれる人の温かさを感じて、私自身も前に進まなくてはと強く思えるようになった」と話した。

 募金は江藤さんが編集長を務めるサッカーマガジンサイト「川崎フットボールアディクト」の特設ページから。URLはhttps://www.targma.jp/kawasaki