【浦添】元沖国大教授で現在は児童養護施設「島添の丘」理事長などを務める神里博武さん(77)が、これまで研究に使用した福祉関係書籍約2万冊の寄贈先を募っている。神里さんは昨年夏、神経系難病「多系統萎縮症」の診断を受けた。最近は発語や歩行にも支障が出始めているが「これからは当事者として、生の声を福祉関係者に届けていく」と話し、今後も地域福祉の充実発展に向けた活動に取り組んでいく決意を語った。
神里さんは学生時代から福祉を専攻し、沖縄キリスト教短期大学、長崎ウエスレヤン大学、沖縄国際大学などで教壇に立ち、教員と研究者の立場から約50年以上、福祉の現場で活動を続けてきた。
昨年8月、歩行に違和感を感じた神里さんは病院をいくつか回り「多系統萎縮症」の診断を受けた。医師によると、発症から約4、5年に歩行困難になるという。ろれつも以前より回らなくなり、「今までのように活動できなくなるのか」と不安に駆られたという。
これまで研究のために集めた大量の書類と書籍を前に、自身の活動を見詰め直す時間が増えていった神里さん。その中で「僕は専門家より、現場で当事者や周りの人たちと関わることが多かった。当事者が心の支えになることが多かった」と振り返り、「今後は専門家であり当事者として、新しい提案ができるはずだ」と、改めて活動を続けることを決意した。
今回、関係書籍の寄贈を決めたことには「いつか、後輩たちに今後の福祉を託す日が来る。彼らの役に立つこともしなきゃ」と話す。「これまでの研究は全て頭に入っているからね」と笑った。
書籍の問い合わせは、かみざと社会福祉研究所(電話)098(879)6614。