記者質問制限 何度も 官房長官会見で検証特集 東京新聞の編集局長「知る権利応える」


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 【東京】東京新聞は20日付で、官房長官会見で官邸側から繰り返される同社記者への質問制限や、「質問に事実誤認があった」などとする内閣記者会への申し入れなどに対し内容を検証する1ページの特集記事を掲載した。同社社会部の望月衣塑子記者の質問について内閣記者会への文書以外に官邸から東京新聞に9回の質問に対して申し入れがあり、そのやりとりも明らかにした。1分半の質疑中に7回遮られるなど、望月記者への質問制限が他社の記者にはなく「狙い撃ちは明白」と指摘した。

菅義偉官房長官

 臼田信行編集局長は「会見は国民のためにある」とする文書を掲載し「私たちはこれまで同様、可能な限り事実に基づいて質問と取材を続けていく」と宣言した。

 望月記者への質問制限を巡っては、新聞労連が抗議声明を出したほか、新聞労連や民放労連、出版労連などでつくる日本マスコミ文化情報労組会議、弁護士やジャーナリスト300人超が緊急声明を出すなど官邸の申し入れ文書の撤回を求める動きが広がっている。

 首相官邸の上村秀紀報道室長名で昨年12月28日、官邸の記者クラブ・内閣記者会に対し、菅義偉官房長官会見での東京新聞の特定記者による辺野古新基地建設に関する質問で「事実誤認」があったとする文書が出された。東京新聞によると、同日付で長谷川栄一内閣広報官から臼田局長宛ての抗議文も送られた。

 特集では、官邸の文書が辺野古新基地建設の工事で「赤土が広がっている」とした質問が「表現が適切でない」と指摘していることなどについて、県と沖縄防衛局のやりとりを詳細に紹介しながら「官邸側の『事実誤認』との指摘は当たらない」と説明した。

 東京新聞によると、内閣記者会宛ての文書以外にも2017年9月から今年1月にかけて、辺野古移設問題や加計学園・森友学園問題など9回の質問に対して官邸側から申し入れがあり、追加の疑義照会も含めると計14回の質問や要求が東京新聞にあった。

 臼田編集局長は見解の中で「権力が認めた『事実』。それに基づく質問でなければ受け付けないというのなら、既に取材規制だ。記者会見は民主主義の根幹である国民の『知る権利』に応えるための重要な機会だ。だからこそ、権力が記者の質問を妨げたり規制したりすることなどあってはならない」と指摘した。