琉球漢詩研究 先駆け 東恩納寛惇賞 上里氏に贈呈


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第36回東恩納寛惇賞贈呈式で琉球新報社の玻名城泰山社長(左)から賞状を受け取る上里賢一氏=21日、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 第36回東恩納寛惇賞(琉球新報社主催、第一書房後援)の贈呈式が21日、那覇市の琉球新報ホールで開かれた。琉球漢詩文の研究・分析で先駆的役割を果たした琉球大学名誉教授の上里賢一氏(74)=浦添市=に、琉球新報社の玻名城泰山社長が賞状、トロフィー、賞金を手渡した。第一書房から副賞が贈られた。

 東恩納寛惇賞は、沖縄を対象とした研究の発展に顕著な業績を上げた研究者に贈られる。

 上里氏は中国文学・琉球漢詩が専門。琉球王国時代の琉球人が作った漢詩を収集・整理し、中国古典文学の伝統的研究・分析方法を用いて個々の作品を丁寧に分析した。

 贈呈式の中で上里氏は「琉球漢詩文探訪―資料と人との出会いを求めて」と題して記念講演した。台湾での自費研修や東アジア各地での調査などを振り返り「琉球漢詩研究は始まったばかりの分野だが、台湾や韓国、中国などでも研究が行われるようになった。非常に感慨深い」と語り、受賞を喜んだ。玻名城社長は「寛惇賞受賞を機に、今後もますます活躍してほしい」と功績をたたえた。

 上里氏は1944年生まれ、宮古島市(旧城辺町)出身。東北大学大学院文学研究科博士課程を経て76年に琉球大学法文学部講師着任。78年に同学部助教授、94年教授に就任した。2010年琉球大学を退官。96年に第18回沖縄文化協会仲原善忠賞、98年に第26回伊波普猷賞受賞。県歴代宝案編集調査委員を務める。