起こせ 琉球旋風 サッカーJ2あす開幕 県総で対福岡戦


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練習試合で軽快なボールさばきを見せるFC琉球の徳元悠平=14日、中城村のごさまる陸上競技場

 サッカーJ2のFC琉球は24日午後4時から、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムでアビスパ福岡と開幕戦を行う。琉球は22日、中城村のごさまる陸上競技場で練習し、福岡戦を想定した実戦形式のゲームも行い、歴史的な一番へ向け汗を流した。大雨が降る中、選手らは互いに声を掛け合うなど、細かい連係をチーム全体で確認した。20人の新戦力が加わり、チームが一新する中で、プロ2年目、糸満市出身の徳元悠平(23)=那覇西高―城西国際大=は注目の1人だ。厚い人望とやる気が認められ、今季は副主将に抜てきされた。昨季はサイドバックとして起用され、琉球にクロス攻撃の攻撃パターンをもたらした。今季はプレー面でのさらなる存在感が期待される。

◆亡き弟と共に駆ける SB・徳元悠平(副主将・糸満出身) プロ2年目 チームけん引

 昨季、J3最速優勝・J2昇格を決めたFC琉球の「超攻撃的サッカー」を支えた県勢選手がいる。糸満市出身の徳元悠平(23)で、サイドバックとしてほぼ全試合に出場し、精度の高いクロスを上げ続けた。人望も厚く、今季はプロ2年目で副主将を任される。競技に正面から取り組む中で、亡き弟のことを忘れたことはない。大切な家族を思いながらグラウンドに立ち、新たなステージで「チームのため、沖縄のため」に勝利を目指す。

 徳元は7人きょうだいの4番目。小学2年の時、2歳年下の弟・泰成さんを亡くした。遊んでいた際の転落事故だった。

 「泰成の分も頑張らないとな」。サッカーに打ち込み、めきめきと力を付け、高校は強豪・那覇西高校に進学。主将を務めるなど、主軸となるまで成長した。試合の日は自宅の仏壇で手を合わせ、会場のピッチに立つと、まずじっと天を見上げる。「けがしないように見ててね」。亡き弟へ向けたルーティンだ。

 厳しい世界での戦いに、妻の晴稀さんの存在も欠かせない。昨年11月3日のホーム戦で優勝・昇格が決まり、その後プロポーズをしたという。

 サッカーに夢中な若い副主将だが、競技を離れると、地域の米須青年会で最年長としてエイサーを可能な限り踊る一面もある。サッカーだけではなく、地域活動にも積極的に参加。昨年は厳しい練習の後でも旧盆シーズンは毎日稽古に加わった。

 昨年のウークイ(8月25日)のナイターゲームは、試合後に青年会に合流し、朝まで踊り通した。「今までお世話になったから、こういう形で返したい。地元が好きなんです」。まぶしい笑顔を見せる。

 今季、本業のサッカーは新体制で始動した。経験豊富なチームメートも加わり、メンバー争いはし烈さを増す。それでも「良い所は全て吸収したい」と仲間たちのプレーをしっかり観察する。向上心はいつでも変わらない。

 9月で24歳になる年男。サッカー、地域活動など多忙だが「良い方向にいくように頑張る。全部に打ち勝ちますよ」と力を込める。J2元年、ウチナーンチュの代表として、琉球旋風を引っ張る。
  (喜屋武研伍)

◆多彩な企画 琉球を応援 臨時駐車場、バスも

 24日に行うFC琉球の開幕戦は「沖縄市民デー」となっており、沖縄市民と同市に在学・在勤する人はバックスタンド側のAホームサポーターシートを無料で利用できる。

 試合当日はサッカーの元日本代表で、琉球のアンバサダーを務める北澤豪氏によるサッカー教室や久保田青年会によるエイサーなど、さまざまなイベントが催される。

 試合当日は混み合うことが予想され、臨時駐車場も設けられる。(1)沖縄市リハビリテーションセンター(2)泡瀬漁港の二つ。無料シャトルバスも泡瀬漁港から20分おき(正午~)に運行している。