ANAホールディングス社長インタビュー 片野坂真哉氏 沖縄立地 事業に反映 物流ハブ「見直し考えず」


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沖縄を拠点にした事業展開などを説明するANAホールディングスの片野坂真哉社長

 全日本空輸の持ち株会社ANAホールディングス(東京都)の片野坂真哉社長が22日、琉球新報社のインタビューに応じた。片野坂氏は沖縄について「アジアに近い立地条件を生かせる。地の利がわれわれのビジネスにも反映されている」と述べて、今後の事業の強化に意欲を示した。一方、那覇空港を拠点とした国際物流ハブ事業は「開始から10年、続けても黒字化していない」と厳しい現状を明かしたが、沖縄発着の貨物路線の運休などについては「大きな見直しは考えていない」とした。

 国際物流ハブ事業については、沖縄発着路線の縮小など改善策を講じているが「減便による収益改善ではなく輸送する貨物量を増やすことが重要になる」と述べた。今後は輸送貨物の獲得や、県産品の輸出強化などを通じて収益の改善につなげると話した。

 アジアに進出する日本企業が増えていることにも触れて「われわれの貨物ネットワークをアジアにつなげたい」と強調した。

 旅客事業については、県経済が観光を中心に好調を維持し、那覇空港の滑走路も増設するため「発着回数が増えて輸送量の拡大につながるはずだ」と期待を込めた。沖縄を拠点にアジアへ展開することも視野に入れており「沖縄からビジネスチャンスをもらっている」と力を込めた。

 傘下にある格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが長距離移動が可能な航空機を導入することも説明した。「今後はより長い距離でアジアにも飛ぼうと思っている。沖縄からなら、アジアの内陸部まで飛んでいける。ベトナムやインドも近くなってチャンスが増える」と展望を描いた。

 ピーチとバニラ・エアは2019年度中の統合予定で「今年1年は飛行機の改修などがあるが、20年になると一気に(事業が)拡大するだろう」と強調した。

 航空機整備施設を運営するMROJapanが那覇空港で事業を開始しており、今後は「アジアに近い地の利を生かしていく」と目標を掲げる。ANAの技術力を生かしてアジアの航空会社を顧客として取り込む方針で「競争は厳しいが(MROは)沖縄で地元社員を雇って事業をやっている。必ず成功させる」と述べた。

 ANAでは遠隔地にいながらさまざまな体験ができる「アバター」に関する事業にも注力している。片野坂社長は「東京にいながら沖縄のビーチの砂を体感することもできる。可能性の大きい事業だ」と感じている。