沖縄の孤独死の実態 3年で431人、平均59歳、8割男性 飲酒が原因多く


この記事を書いた人 大森 茂夫

 誰にもみとられずに自宅で亡くなる「孤独死」が2016年1月から18年11月までの約3年間で、沖縄県内で少なくとも431人おり、男性が約8割を占めることが26日までに、琉球大学大学院医学研究科法医学講座のまとめで分かった。毎年100人以上が孤独死していることになる。

 死者の平均年齢は59歳。人数では60代が最も多く144人、20代も2人いた。肝硬変など飲酒が原因で亡くなるケースが目立った。司法解剖を行う同講座が取り扱う遺体は県内で亡くなる人のごく一部にとどまるため、実際の孤独死者数はさらに多いとみられる。県内全域の孤独死の実態が明らかになるのは初めて。

 琉大法医学講座のまとめでは、16年は158人(男性127人、女性31人)、17年は142人(男性108人、女性34人)、18年は11月末時点で131人(男性100人、女性31人)となっている。年代別では60代が144人(男性121人、女性23人)で最も多く、次いで70代の109人(男性82人、女性27人)、50代の79人(男性66人、女性13人)と中高年が大半を占めた。30代も10人(男性8人、女性2人)いた。

 県内の死亡者数は毎年1万人前後で推移する。県警は16~18年、毎年約1700~1800体の遺体を変死体として取り扱い、事件に巻き込まれていないかを確認した。そのうち法医学講座は県警などからの依頼を受け毎年400~500体を解剖するなどして死因や身元を特定する。

 孤独死のうち死亡推定日から1週間以内に発見された遺体は246体、1週間以上は164体、1カ月以上は21体あった。最長は死後1~2年経過しミイラ化した状態で発見された遺体だった。この死者は生前に心筋梗塞を患っており、家族はいたが本人が接触を避けていたという。

 孤独死の死因で最も多いのは病死だが、階段からの転落死など事故死も含まれる。高温多湿の沖縄では遺体は数日で腐敗し、異臭やハエの発生で孤独死が発覚することが多いという。死後1カ月ほどで骨だけになってしまい、死因が特定できない場合がある。

 琉大法医学講座の二宮賢司教授は「さまざまな理由で社会との接点が薄くなった人が孤独死する場合が多い。孤独死を避けるには定期的に生存を確認する仕組みを作った方がいい」と話した。

 (梅田正覚)

▽おことわり

 「孤独死」の明確な定義はありません。今回、取材と記事執筆に当たっては「自宅で1人で暮らし、死亡状態で見つかった人。ただし自殺を省く。また事件性が薄い場合に限る」との定義を設け、琉大法医学講座に協力を依頼して統計値を得ました。