聖地踏めた「ありがとう」 感謝込め親を抱っこ 名護高ラグビー部3年生


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 【名護】3年間、部活を続けることができたのは家族の支えがあったから。お父さん、お母さん、ありがとう―。第98回全国高校ラグビー大会に出場した名護高校ラグビー部の「3年生を送る会」が保護者会主催で開かれた。ラグビーの聖地・花園を経験した3年生たち。一人一人が父、母に感謝の言葉を送り、抱っこしてありがとうの気持ちを表した。

感謝を込めて親を抱っこする3年生
感謝を込めて親を抱っこする3年生

 市内の焼き肉屋には、インフルエンザで欠席した1人を除き、3年生16人全員と、保護者ら合わせて約80人が集まった。食卓を囲む体格のいい生徒たちを見守る保護者の顔には、優しさがこもる。食事を終えると、生徒一人一人が壇上に上がり思いを語り始めた。そばには保護者が立ち、息子の言葉を聞いていた。

 「3年間で自分の中に強く心に残っているのは、花園がかかった決勝の時。その時、みんなの気持ちが一つになった。夢の花園で試合ができたことはいろんな人の支えがあったから」。玉城聖貴さん(18)が花園への思いを語ると、母の愛衣さん(37)は「3年間一生懸命だった。心も大きくなってありがとう」と述べた。

 「3年間続けて、きついこともあったし楽しいことも多かった。ここまで来られたのは、お父さんお母さんのサポートがあったから」。息子の與那嶺樹さん(18)の言葉を、母の由美さん(41)は涙ぐみながら聞いた。「運命でラグビーを始めたんだと思う。最初の試合の時はけがが怖くて、『早く終われ早く終われ』と思っていた」と振り返った。

 息子に抱っこされ喜ぶ母、酔っぱらった父を愛情を込めて締め上げる息子。会は笑いと涙に包まれた。

 大学や専門学校へ進みラグビーを続ける者、ひとり親家庭で働きながらラグビーを続けさせてくれた母に恩返しするため就職する者―と3年生たちはそれぞれの道へ進むが、花園への切符を勝ち取った経験が生き続ける。息子の英大さん(18)の活躍を見てきた保護者会の喜納英和会長(48)は「花園まで連れて行ってくれたことに、ありがとうという気持ちだ。この子たちの可能性を感じる。これからのラグビー、人生を楽しんでほしい」と語った。

保護者や監督らと一緒に記念撮影する選手=9日、名護市