〈解説〉県民投票伝達 民意にゼロ回答 3者機関 言及なく


社会
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 辺野古新基地建設に伴う埋め立てに反対する票が投票総数の7割を超えた県民投票の結果を正式に伝えられた安倍晋三首相は「(基地建設は)日米の政府間の合意だ」と述べ、あくまで基地建設を進める考えを示した。玉城デニー知事から提案された日米両政府に県を加えた3者協議の場を設けることについても安倍首相は言及せず、県民が投票で意思を示した「新基地建設ノー」の民意に、事実上「ゼロ回答」の対応をした。

 前回県民投票が行われた1996年に大田昌秀知事から結果を伝えられた橋本龍太郎首相は「私たちの努力が十分なものであったかについて謙虚に省みる」との談話を閣議決定した。

 加えて沖縄の振興策を話し合う「沖縄政策協議会」の設置を決めるなど沖縄への強い配慮も示した。これに比べて今回は、過重な基地負担を負い続けている沖縄の現状や県民投票の結果に対する政権の冷淡ぶりが際立った。

 一方、県首脳は日米と県の3者協議(SACWO)の提案は今回が初めてだとし、実現に向け「きょうが始まりだ」と今後の政府の対応を注視する。「県民投票の結果を真摯(しんし)に受け止める」と述べてきた安倍首相ら政府が、知事の要求にどう向き合うかが引き続き問われる。

 (知念征尚)