政府、訓練移転提案も 米専門家 県民投票受け分析


社会
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マイケル・ボーザック氏

 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】元在日米軍司令部政府関係副課長として、2015年の日米の防衛協力指針(ガイドライン)改定に関わったマイケル・ボーザック氏(横須賀アジア太平洋研究会議特別アドバイザー)は1日までに、本紙の取材に答えた。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡る県民投票の結果を受け、安倍政権は今後の選挙への影響を懸念し、沖縄の負担軽減策として「米軍機の訓練移転を県に提案する可能性がある」と分析した。

 ボーザック氏は県民投票に法的な拘束力はないものの、「普天間代替施設計画に対し、民主的な方法で明確に沖縄県の立場を示した」と指摘。新基地建設工事の強行は「非民主的というラベルを貼ることになり、4月の統一地方選や参院選を前にした安倍政権の問題となる」と説明した。

 その上で自民、公明両党は県への政策譲歩として、日米が確立した訓練移転プログラムを生かし「特に普天間飛行場所属のオスプレイのような米軍機の訓練移転を検討するだろう」と予測した。

 長期的には、政府が米軍空母艦載機による陸上空母離着陸訓練(FCLP)の移転候補地とする馬毛島(鹿児島県)への訓練移転の検討や、米軍の事件・事故に関する日米地位協定の改定または補足の交渉を米側に提案する可能性もあると説明した。日米両政府が辺野古が「唯一の解決策」と呼ぶのは「全体として最良の選択肢であるという理由ではなく、両国の決定に課された多くの制約を満たす意味で最良であるため」と説明した。「他の都道府県が新しい米軍基地を受け入れても構わないと言うまで、沖縄は荷を負い続けるだろう」と述べ、大きな制約の一つが他の都道府県が代替施設を受け入れない現状だと指摘した。

 一方、新基地建設予定地の軟弱地盤の問題は「政治的な問題」と捉え、設計変更に伴う県の承認が得られなければ「さらなる交渉と譲歩が必要とされる状況をつくり出す」と強調した。「米側は普天間代替施設のできるだけ早い完成を望む。建設期間が長くなるほど、普天間は継続使用され、政治的摩擦が続く」と述べた。