全国初LGBT応援誌 「空とぶ船」今月第1号 当事者視点で情報発信


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LGBT応援マガジン「空とぶ船」を発刊する南定四郎さん=宜野湾市大山

 日本初の「LGBT応援マガジン」と銘打った雑誌が沖縄県内で近く創刊される。編集長を務めるのは、自身もゲイで元編集者の南定四郎さん(87)=うるま市。LGBTなど性的マイノリティーの視点から、当事者に役立つ情報を発信する。雑誌は「空とぶ船」と題し、今月中に第1号を発行する予定だ。

 南さんは東京で雑誌を編集する傍ら、1984年にIGA(インターナショナル・ゲイ・アソシエーション)日本支部を創立。2011年に県内に移住し、沖縄市社会福祉協議会でLGBTに関する電話相談員を務めている。

 「LGBT当事者が自身の体験を公開し、性で悩んでいる人に解決の道を見つけてもらいたい」との思いから、「空とぶ船」の創刊を決意した。2月中旬、創刊準備号(0号)を発刊。昨年9月に那覇市であった「ピンクドット沖縄2018」と、同10月に台北であったLGBTパレードの模様を特集した。

 創刊準備号から雑誌の“カラー”が出ている。編集部員で、心と体の性が異なるトランスジェンダーの仲村司さん(35)は、心の性に合わせて男性用の服を着ている。ただ、「『これいいな』と思ってもサイズがない。合うのは子ども用。トランスジェンダーの人は服に困っている」と言う。そこで創刊準備号では、服の型紙制作や仕立てを行う、うるま市の店舗を取り上げた。

 今後もLGBT当事者のニーズや悩みに応える情報を発信する方針。ボランティアの編集スタッフを募集中で、南さんは「当事者が加わることで、応援される側が応援する側に変わる。雑誌を介し、当事者が経済的にも自立できるよう支援できれば」と話している。

 年4回発刊で各24ページ。税抜き500円。宜野湾市大山のLGBT応援カフェ「空とぶ船」やホームページ(https://soratobufunep.com/)で販売する。