比嘉 風雨巧みに利用 ダイキン女子ゴルフ第3日


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◇1打集中、舌巻く安定感 比嘉真美子

 10メートルの風と雨が吹きすさんだ3日目は、アンダーパーは54人中2人のみ。単独首位で臨んだ決勝ラウンド初日、比嘉真美子は3バーディー、2ボギーで通算9アンダーに伸ばし、2位に7打差と独走態勢をつくった。予選の強風は気にしなかったが、この日は初めて「本当に過酷だった」と胸の内を語る。心掛けたのは、風にぶつけるのでなく「風を利用して打つ」こと。逆風も味方と捉え、1打1打に集中し続けた。

18番 ピンそばに寄せた比嘉真美子のバンカーショット=9日、南城市の琉球GC(喜瀬守昭撮影)

 上がりの18番はバンカーから絶妙のアプローチでピン1メートル以内に寄せてバーディー。大ギャラリーを沸かせたが、この日の一番は「しっかりパーセーブして、次につなげたこと」と安定感を鍵に挙げた。

 向かい風に多くが難航した10番(パー4)。残り176ヤードから2打目を4番ユーティリティーでグリーン手前のバンカーへ、次にピン奥2メートルに置いてスライスラインからパー。16番(パー3)は3~4メートルの難しいフックラインのパーパットを読み切った。

 同組の原江里菜は「本当にいいプレーしてて、一緒に優勝争いをしてる感覚がない」、小祝さくらは「リカバリーがすごい」と舌を巻いた。

 このまま勝てば、2004年の宮里藍選手以来、15年ぶりの県勢優勝となる。しかし「何打差開いているというのは、今考えることではない」と言葉は慎重だ。優勝に向けた姿勢はプレーで示すだけ。「私も1人の県民としていいプレーを見せたいし、地元で優勝すれば最高の恩返しになる」。声援、指笛、全ての応援を力に変える。(石井恭子)

◇新垣、攻めて15位 重圧取れ、表情も緩む

12番 慎重にパットを打つ新垣比菜(滝畠豊美撮影)

 ホールアウト後、前に進むのも難しいほど多くのファンに囲まれた新垣比菜。地元の温かい声援に、予選の時とは一変、表情が緩む。

 7年連続出場の常連も、ホステスプロとしては今回が初。2日目までは想像以上の重圧を感じていた。この日は強風と降雨の悪天候で他の選手も苦しんだが、予選通過で「重し」の取れた新垣は攻める気持ちを忘れなかった。

 スタート直後を含めた2ボギー、1ダブルボギーも、4バーディーで盛り返した。決勝ラウンド進出の54選手中、50選手がオーバーパーの中、イーブンパーでまとめ、15位に上げ最終日に向かう。

 3日目は出だしの10番、左のバンカーにつかまり、パーオンできずにボギー。11番(パー5)は3打目を左に外し、アプローチは寄らず入らずでダブルボギーをたたく。だがコースをよく知っており、焦らなかった。

 逆に「攻め」の気持ちを持ち続け、普段より大きめに風を読み、ショットを細かく修正していった。13番は下りの8メートル、14番は上がりの5メートルをしっかり沈め、連続バーディー。最後までイメージ通りのゴルフを続け、計四つのバーディーを奪った。

 最終9番をボギーとし、悔しさもあるというが、「今日みたいなゴルフを続ける。トップ10を狙えると思う」と持ち味を取り戻した自信を胸に、浮上を狙う。(喜屋武研伍)

◇「めっちゃ頭を使った」 宮里、しのいで15位浮上

1番 ティーショットを打つ宮里美香(喜瀬守昭撮影)

 「沖縄らしい風で、めっちゃ頭を使いました。全英(オープン)みたい」と宮里美香は苦笑した。コースに吹き荒れる雨風を持ち前のパンチショットで切り抜けても、「しのいでるけれどバーディーチャンスを生かすことが難しかった」。2バーディー、4ボギーと二つ落として通算2オーバー。それでも他選手も次々スコアを崩し、順位を15位に上げた。

 アウトスタートの2番でグリーン手前の花道からチップインバーディー。しかし直後の3番と折り返した12番で3パットしボギーをたたいた。このせいで「きょうは60点ぐらい」と辛い採点。それでも「ティーショットもそんなに悪くないし、ボギーで抑えられたんで」と良い側面を見る。

 正面からの風に多くの選手がボギーとなった10番(パー4)は「これまで経験したことのない10番で、違うホールを回ってるみたい」だった。2打目に選んだのは3番ウッド。これをピンそば3~4メートルに寄せ2パットで沈めた。「パー4・5ぐらいな感じだった。ここはナイスパー」。

 上がりの18番(パー5)は4打目がピン奥2メートルほどにそれ、バーディー締めを逃した。「順位どうこうより、最後に取りたかった」とこだわる。最終日も荒天が予想される。「これではアグレッシブにできる状態じゃないんで、守るところは守っていく」と細心さも忘れず、自身のプレーに徹する。(石井恭子)